「最低限の仕事」が当たり前にできるありがたみ。パ・リーグ犠飛王ランキング

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2018.4.25(水) 16:33

埼玉西武ライオンズ・栗山巧選手(C)PLM
埼玉西武ライオンズ・栗山巧選手(C)PLM

「犠飛」は、よく「最低限の仕事」と称される。しかし、無死または1死3塁の状況。相手バッテリーは当然それ相応の配球を講じてくる。そんな中で、深い外野フライを打ち上げて確実に1点を取る作業は、周囲が考えている以上に難しいものだ。

そこで今回は、過去5年間のパ・リーグ犠飛ランキングから、出色の成績を残している選手について紹介していきたい。

過去5年間のパ・リーグ犠飛ランキング

【2013年】
1:今江敏晃選手(千葉ロッテ)11
2:小谷野栄一選手(北海道日本ハム)10
3:松田宣浩選手(福岡ソフトバンク)7
4:アブレイユ選手(北海道日本ハム)6
4:枡田慎太郎選手(楽天)6
4:鈴木大地選手(千葉ロッテ)6
4:ジョーンズ選手(楽天)6
8:長谷川勇也選手(福岡ソフトバンク)5
8:ヘルマン選手(埼玉西武)5
8:内川聖一選手(福岡ソフトバンク)5
8:マギー選手(楽天)5
8:島内宏明選手(楽天)5

【2014年】
1:栗山巧選手(埼玉西武)9
2:浅村栄斗選手(埼玉西武)8
3:内川聖一選手(福岡ソフトバンク)7
3:長谷川勇也選手(福岡ソフトバンク)7
3:中田翔選手(北海道日本ハム) 7
6:松井稼頭央選手(楽天)5
6:嶋基宏選手(楽天)5
6:クルーズ選手(千葉ロッテ)5
9:糸井嘉男選手(オリックス)4
9:銀次選手(楽天)4
9:松田宣浩選手(福岡ソフトバンク)4
9:鈴木大地選手(千葉ロッテ)4
9:角中勝也選手(千葉ロッテ)4
9:安達了一選手(オリックス)4
9:今宮健太選手(福岡ソフトバンク)4
9:ミランダ選手(北海道日本ハム)4
9:鶴岡慎也選手(福岡ソフトバンク)4

【2015年】
1:松田宣浩選手(福岡ソフトバンク)8
2:内川聖一選手(福岡ソフトバンク)7
2:藤田一也選手(楽天)7
2:浅村栄斗選手(埼玉西武)7
2:中田翔選手(北海道日本ハム)7
6:近藤健介選手(北海道日本ハム)5
6:クルーズ選手(千葉ロッテ)5
8:銀次選手(楽天)4
8:T-岡田選手(オリックス)4
8:栗山巧選手(埼玉西武)4
8:明石健志選手(福岡ソフトバンク)4
8:安達了一選手(オリックス)4
8:後藤光尊選手(楽天)4
8:レアード選手(北海道日本ハム)4
8:今宮健太選手(福岡ソフトバンク)4
8:田村龍弘選手(千葉ロッテ)4

【2016年】
1:内川聖一選手(福岡ソフトバンク)9
2:鈴木大地選手(千葉ロッテ)7
2:デスパイネ選手(千葉ロッテ)7
2:メヒア選手(埼玉西武)7
5:角中勝也選手(千葉ロッテ)6
5:浅村栄斗選手(埼玉西武)6
5:秋山翔吾選手(埼玉西武)6
8:T-岡田選手(オリックス)5
8:松田宣浩選手(福岡ソフトバンク)5
8:中田翔選手(北海道日本ハム) 5
8:今宮健太選手(福岡ソフトバンク)5

【2017年】
1:秋山翔吾選手(埼玉西武)7
1:柳田悠岐選手(福岡ソフトバンク)7
1:栗山巧選手(埼玉西武)7
1:レアード選手(北海道日本ハム)7
5:浅村栄斗選手(埼玉西武)6
5:中村剛也選手(埼玉西武)6
7:中島宏之選手(オリックス)5
7:中村晃選手(福岡ソフトバンク)5
7:岡島豪郎選手(楽天)5
10:金子侑司選手(埼玉西武)4
10:源田壮亮選手(埼玉西武)4
10:鈴木大地選手(千葉ロッテ)4
10:炭谷銀仁朗選手(埼玉西武)4
10:田村龍弘選手(千葉ロッテ)4
10:駿太選手(オリックス)4
10:中田翔選手(北海道日本ハム)4

2016/06/26(日) E-H 内川 チャンスできっちり先制犠飛!!
2016/06/26(日) E-H 内川 チャンスできっちり先制犠飛!!

ランキング上位常連はやはりチャンスに強い好打者たち

2016年の「犠飛王」をはじめ、2位タイと3位タイにもそれぞれ1度ずつ入っている福岡ソフトバンクの内川選手はさすがだ。外野フライがほしい場面でその高い打撃技術は存分に生かされているようで、長期離脱を強いられた昨シーズン以外の4年間全てでトップ10入りを果たすという安定感を誇っている。

また、2015年にその内川選手をかわしてランキングのトップに立ったチームメイトの松田選手も、昨季以外の4シーズン全てでトップ10入りし、持ち前のパワーと勝負強さを証明している。そして、北海道日本ハムの主砲・中田選手も故障離脱した2013年以外はトップ10入り。2度の打点王に輝いた理由の一端を示している。

ただ、ここ5年の間で複数回にわたってリーグトップの犠飛を記録した選手は1人だけ。その選手とは、2014年と2017年に2度の「犠飛王」に輝いている埼玉西武の栗山選手だ。

昨季は116試合の出場にとどまり、規定打席にも到達できなかったにもかかわらずリーグトップタイとなる7本の犠飛を放ってみせた。年間での本塁打数は12本が最多と、決して長距離砲タイプではない栗山選手。だが、そのずば抜けた選球眼と打撃センスは、チャンスの局面においてより生かされていると言えそうだ。

ランキングから分かる通り、犠飛はリーグ最多でも10個を下回るケースが多い。この数字からも、犠飛を打つことがいかに難しいかが読み取れるだろう。

しかし栗山選手や内川選手のように、ほぼ毎年安定して多くの犠飛を成功させ、貴重な得点をもたらす打撃職人たちもまた存在しているのだ。「最低でも外野フライ」という場面で、確実に最低限以上の仕事をやってのける男たちの活躍に、今季も大いに期待したい。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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