昨年11月、今年3月には侍ジャパンにも選出
北海道日本ハムの松本剛内野手がブレークのきっかけをつかんだのは、ちょうど1年前だった。昨年4月23日の埼玉西武戦で1軍昇格して「2番・右翼」で即先発出場すると3打数2安打1打点の活躍。続く25日の福岡ソフトバンク戦では、千賀からプロ初本塁打を含む2本のアーチを架けて、周囲を驚かせた。
一度つかんだチャンスを手放さず、シーズン後半には2番打者に定着。プロ6年目で初めて規定打席に到達し、打率.274、5本塁打の成績を残した。シーズン終了後には侍ジャパンに選出され、昨年11月には「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」、今年3月には「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」に出場した。
あれから1年。チーム再構築を掲げて競争をあおる栗山英樹監督の下、松本は開幕スタメンを逃し、先発出場はまだ6試合にとどまっている。22日現在、24打数3安打で打率.125。昨オフには「2年続けないと意味がない。とにかくレギュラーを獲りたい」と自分にハッパをかけていただけに、もどかしい思いを抱えているのではないか。
そんな予想は見事に裏切られた。松本の表情は明るかった。充実感にあふれていると言ってもいいほどだった。
「(2軍スタートだった)去年に比べたら、いい位置にいますから。結果が出ていないので、何とも言えないんですけど、練習の感じは悪くないんです。久しぶりに札幌ドームに戻ってきて、練習できる量が増えているし、自分の時間が取れるので、いい方向に行っています。結果の世界なので『H』のランプがつけば、気持ちも変わると思うんです。もちろん、過程も大事にしたいと思っています」
昨季リーグ3位の6捕殺を記録、今季もすでに2捕殺をマーク
悔しさや焦りといった感情を表に出すことなく、ただただ愚直にレベルアップに取り組んでいる。「下が使えれば粘りが出る」と、打撃練習では下半身を意識。オープン戦でチーム打撃を意識し過ぎて、結果を残せなかった反省も踏まえて「今は自分の打席の中で、自分のスイングをすることを意識しています」と口にする。
ベンチで戦況を見守ることも多いが、1年前とは試合を見る観点が全く違うという。「配球も見ていますし、バッターがどういうシチュエーションでどういうバッティングをしているのか、味方バッターも相手のバッターもよく見ています。自分が立ったら、こうしたいということをイメージしながら。視野を広く見ていることを無駄にしないようにしたいです」と頭フル回転させ、試合に入り込んでいる。
そんなシミュレーションと準備が功を奏しているのか。外野守備ではチームを救う捕殺をすでに2つ記録している。
「両方良ければいいですけど、バッティングがダメな時は、守備で頑張ろうと割り切っています。(送球は)ラインを外さないことが一番大事。いくらボールが強くてもラインを外していたら勝負にならないですから」。
昨季リーグ3位の6捕殺を記録した強肩の持ち主は、外野の守備固めで途中出場するケースも増えつつある。
ただ、本来攻撃的な選手だけに、早くバットで結果を残したいところ。「去年の今頃は、(1軍に)上げてもらって、とにかくがむしゃらでした。その初心を忘れずに、1打席に懸けたいと思っています」。レギュラーだった昨年後半を考えると、現状物足りないようにも見えるが、活躍するための牙をしっかりと研いでいる。
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