9月22日、パシフィックリーグマーケティングとシスコシステムズ合同会社による企画「パーソル パ・リーグTV Meetings 第2弾」が実施された。埼玉西武のOBであるG.G.佐藤さんと米野智人さん、侍ジャパンのスタジアムDJであるDJケチャップさんをお迎えし、ファンとともにリモート観戦を楽しんだ。
7月9日、パシフィックリーグマーケティング株式会社はシスコシステムズ合同会社とのパートナーシップ契約を発表。新型コロナウイルスの感染拡大により従来の観戦スタイルが制約される中で、インターネットを活用した新しいファン・エクスペリエンスの実現を目指す。第2弾の今回も「Cisco Webex」を用いて、事前登録を行ったファンが埼玉西武と北海道日本ハムの公式戦を観戦した。
試合を楽しみながら、チャット機能を用いて試合中は常に自分のコメントを送ることができる。また、試合映像を全画面にして、ゲストは音声のみにすることも可能であるため、参加したファンも自分に合った方法で楽しんだ。
試合中には事前に選ばれたファンが、実際にOBと顔を合わせて質問を行う企画も実施。試合に動きが見られると、画面上で選手の応援タオルを掲げるファンの姿も見られた。スタジアムではなくても、全国各地のファンと応援できる。これもリモート観戦ならではの機会だろう。
また、「Cisco Webex」の投票機能を用いて「パーソル パリーグTV的ライオンズベストナイン投票」を実施。ファンによる投票によって、埼玉西武の歴代ベストナインを選出した。結果は以下の通りだ。
G.G.佐藤さんと米野さんの現役時代のエピソードから、技術面に踏み込んだ真剣な野球の話まで、多様な話題で企画を盛り上げてくれた。どちらもファンにとっては貴重な時間だったことは間違いない。試合終了後には、ゲストの2人からの感想もいただいた。
米野さん「こういう機会は初めてだったのですが、めちゃくちゃ楽しかったですね。ただテレビを見ていたら長かったと思うんですけど、試合があっという間に終わりました。皆さんもチャットでコメントをしてくれてありがとうございます!」
G.G.佐藤さん「今日、ここに呼んでいただいて、僕自身も見直す時間をいただいたので非常に感謝しています」
米野さん「真面目か(笑)」
G.G.佐藤さん「では、皆様の幸せを願って……からの、キモティー!!」
第2弾となった今回の企画も、最後まで笑顔の絶えない最高の形で終えることができた。興味を持ったファンは、ぜひ参加してみて欲しい。きっと、これまでとはまた違った新しい試合の楽しみ方を知ることができるはずだ。
ルーキー時代のG.G.佐藤さんが捕手断念を覚悟した投手、そして「銀河イチ」と称した投手とは……?
試合前には、G.G.佐藤さんと米野さんにインタビューが行われた。
ーー現役時代一番ストイックだと思ったチームメイトや先輩はいますか?
G.G.佐藤さん「僕は栗山が好きですね。誰よりも練習してますし、野球に向かう姿勢は最高だと思います。あとは福浦選手。あの人は神様です。誰よりも先に球場に入って準備も抜群にやっていたので、すごいなと思いましたね」
ーーG.G.佐藤さんは栗山選手のエピソードはありますか?
G.G.佐藤さん「とにかくイケメンです(笑)あの顔になりたいです。練習もいい汗かいてカッコいいんだよなあ……試合が終わってからも毎晩室内練習場に行くぐらいの選手なので、振っても振っても足りないんでしょうね」
ーー現役時代ストイックだと思った選手、米野さんはどうですか?
米野さん「これはもう……G.G.佐藤でしょ。本当にストイックでしたよ。これは聞いた話ですが、夜中の2時か3時くらいに目覚ましをセットして、体づくりのために生卵3個くらい一気に食べてたらしいですよ(笑)」
G.G.佐藤さん「ほぼ本当ですね。当時は得られる情報といえば本屋にあるボディビルダーの雑誌しかなかったんですよ(笑)。その雑誌に、ボディビルダーは3時間おきにご飯を食べると書いてあったので、12時に寝たら3時に起きて卵3個とプロテインを飲んでまた寝る。それでまた6時に目覚ましをかけて……というのを3時間おきにずっとやっていました(笑)」
ーー現役時代、一番嫌だった投手は誰ですか?
米野さん「みんなすごくいいピッチャーだったんですけど、この真っ直ぐはすごいなと思ったのは藤川球児さんですかね。火の玉ストレートは本当に浮き上がってきましたね。映像だと高めの真っ直ぐを振っているように見えますが、本当にど真ん中に見える。それぐらい浮いてきました」
G.G.佐藤さん「対戦はしてませんが、松坂大輔さん。キャッチャーで入団して初めて受けたピッチャーが松坂さんで、『ストレート行くよ』と言われてボールを受けた瞬間に、凄すぎて嫌な予感がしたんです。『次スライダー行くよ」と言われた後に、あまりに曲がって捕れなかった。伊藤監督に『僕キャッチャーやめたいです……』って言っちゃうぐらいにすごいピッチャーでした。『捕れないのなら打てるわけない』と思いましたね」
ーー「変化球ならこの人!」という選手は
米野さん「(ヤクルト時代の)二軍の試合だったんですけど、潮崎さんと対戦した時のシンカーはびっくりしました。『これが潮崎さんのシンカーか』と感動しましたね。かなり落ちていました」
G.G.佐藤さん「ダルビッシュ(現・カブス)が銀河系イチですね。人類最強だと思ってます。スライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、なんでも投げるんですよね。スコアラーが一生懸命データを集めてくれるんですけれど、全て通用しないんです。なぜかというと、その日の調子のいいボールを使ってくるのでデータが全く当てにならない。スライダーがちょっと調子悪いとカーブやフォークに切り替えたり。しかもそのボールも全てが一級品なので……打てません!(笑)」
ーー最も印象に残っている外国人選手は?
米野さん「クルーン(横浜ほか)ですね。打席に立ったらやっぱり速かったですね。チームメイトだったらラミレス。いろいろ教えてもらったし、日本に対して愛もあるからチームメイトからも人気がありました。あとはガトームソン(ヤクルトほか)。一緒にノーヒット・ノーランを達成したのでそれが思い出に残っていますね。結構短気なのでそれをリードするのが大変でした。(ノーヒット・ノーランは)7回ぐらいまで気づいてなくて、チームメイトに教えてもらってそこからめちゃくちゃ緊張しました。ライオンズだったらスピリーと仲がよかったですね。プライベートでもドライブとか行ってました」
G.G.佐藤さん「言葉が通じないんでなかなか難しいんですよ(笑)」
ーーG.G.佐藤さんはアメリカに行ってましたよね?(※その話は後ほど)
G.G.佐藤さん「行っても全然英語はダメなんだよなあ(笑)」
ーーライオンズ時代のキャリアで最も印象に残っていることは
米野さん「プレーだったら満塁ホームラン(※)それしかないです。あれが一番印象に残ってますね。ファンの皆さんもあれでやっとライオンズの一員として認めてくれたかな、という。2010年からライオンズに来てるんですけど、2012年までは認められてなかったです。逆にああいう打球は1つのシーンみたいな感じで、打った感触は残ってないんですよね。『これは余裕で入った!』と思ったら、まあまあギリギリでしたが(笑)」
※2012年、9回2死の状況で福岡ソフトバンクの守護神・ファルケンボーグからの逆転弾
G.G.佐藤さん「プロ野球選手になるのが夢でした。なので、下山口のコンビニで『プロ野球選手のG.G.佐藤さんですか?』と言われた時に『ああ、プロ野球選手になったんだなと実感した時ですね。キャンプから帰ってきた頃だったので、みんな見てくれてるんだと思いましたね。
ライオンズは常勝軍団なので、キャンプの時からAクラスは当たり前、優勝するために何ができるかっていうところからのスタートなんですよ。その軍団の中で野球がやれたっていうのはいい経験でしたよね。黄金時代の流れが伊藤監督や高木さん、和田さんが引き継いで、それを僕らも学ぶことができたので良かったと思いますね。今はその伝統を山川選手や森選手が引き継いでいるのかなと思いますね」
ーー米野さんはスワローズに入団した当時の絶対的正捕手であった古田敦也さんを見て、どう思いましたか?
米野さん「高校生だったので、最初は『テレビで見ていた人だ』という感じ。若い頃は勉強のようなかたちで一軍にも上がっていましたが、その時は自分もベンチで見ながらリードを組み立てるんです。古田さんは自分と全然違うんですが、きっちり抑えるんですよね。それでもう天と地、子どもと大人ぐらい差があると感じて。『いつか自分もあんな日本球界を代表するキャッチャーになりたいな』という本当に大きな目標になってました。当時のセリーグはジャイアンツが強かった。古田さんからは『この強いジャイアンツに勝たないと優勝できないんだぞ』という気持ちの強さを感じましたね」
ーーG.G.佐藤さんはアメリカの生活で印象に残っていることはありますか?
G.G.佐藤さん「食事はキツかったですね。マイナーリーグは『ハンバーガーリーグ』とも言われていますが、本当にファストフードのオンパレードでした。それで半年ぶりぐらいに味噌汁を飲んだ時に、体の細胞から喜んでいる感じがしましたね。『オレ、日本人だな』と思いました。移動も狭いバスで、長い時は15時間は移動しましたかね。そのバスの中も寒い。フロリダにいたのにニット帽を買いに行って、パーカー着て寝てました。
野球の雰囲気はメジャーリーグに近い部分はありましたし、一緒にやってた選手も何人もメジャーリーグに上がっていった。ダブルAからメジャーに上がっていった選手は涙を流して喜んでましたから。『メジャーリーグに行く』っていうのは本当にドリームですよね。あの時の経験は自分にも生きていますし、もう一回やれって言われたらできないですね。辛すぎて。でも当時は苦とも思わなかったですよ。夢を追っていたというか、メジャーリーガーになりたいという一心だっったので。今は筒香選手、秋山選手が頑張っていますが、日本人は野手でもやれるというところを見せて欲しいですよね。応援してます」
ーー今だからこそ言える、現役時代に一番やらかしたことは
G.G.佐藤さん「ちょっと難しいですけど……一個だけ思いつくことがあるんですが、僕は『落としグセ』があるんですね。品川のプリンスホテルに泊まるのですが、夏かな、財布落としたんですよね」
米野さん「そっちじゃないよ(笑)」
G.G.佐藤さん「あ、神戸の時に落とした鍵かな?……北京ですね。実はもう記憶が出てこないように閉じ込めてるんです。なのでフタを開けるのやめてください本当に……(苦笑)
フライを落としたのは本当に一大事でやらかしたなと思いますけれども、野村監督に会ったんです。亡くなる前に。『お前はフライは落としたけど名前は残した。お前はそれを背負って生きていきなさい』って言っていただいた時に、心が救われた気がしましたね。あの時に頑張っていこうかなと思いましたね」
米野さん「今パッと思い出しました。僕も大事な時にキャッチャーフライ落としてるんですよ。松井秀喜さんがメジャーに行く前、最後の巨人時代に50本ホームランを打ちましたよね。その時にキャッチャーをやっていて、松井秀喜さんが50号打つ前のキャッチャーフライを落としたんですよ。僕が捕ってたら49号だったんですよ。なので僕がメジャーに向けて背中押したような感じですね(笑)」
「パーソル パ・リーグTV Meetings 第2弾」お楽しみいただけただろうか。第3弾は10月18日(日)にZOZOマリンスタジアムで行われる。ぜひ新しい野球観戦のかたちを体験いただきたい。
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