100H100S達成の鷹・森唯斗 シーズン短縮でも変わらない“こだわり”とは?

Full-Count 藤浦一都

2020.10.12(月) 08:05

通算100セーブを達成した福岡ソフトバンク・森唯斗※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)
通算100セーブを達成した福岡ソフトバンク・森唯斗※写真提供:Full-Count(写真:藤浦一都)

記念ボード掲げ喝采浴びる「正直ここまでできると思ってなかった」

■福岡ソフトバンク 3-0 千葉ロッテ(11日・PayPayドーム)

 福岡ソフトバンクの森唯斗投手が11日の千葉ロッテ戦で、プロ通算100セーブを達成した。3点差の9回にマウンドに上がり、先頭の井上晴哉にヒットは許したものの、福田秀平、田村龍弘を空振り三振に。最後は佐藤都志也を一塁ゴロに打ち取ってゲームセットを迎えた。首位攻防3連戦の勝ち越しに貢献すると同時に、100ホールド100セーブの節目も迎えた。

 首位攻防3連戦の3戦目で、守護神はリードを守り抜いた。チーム揃っての勝利挨拶の後、森は、受け取った記念ボードを掲げてスタンドの喝采を浴びた。

 森は「千葉ロッテとの戦いで勝てたのが大きいと思います」と、まずはチームが首位決戦で勝利できたことを喜んだ。100ホールド100セーブの記録については「何もわかんないですけど……。正直ここまでできると思ってなかったので、本当にうれしいです」と話した。

 記録を達成できた大きな要因を「一番はケガをしないこと」と語り「ずっと投げ続けないとこういう数字は難しいが、大きな離脱なしに来られた」と振り返った。

 いつ出番が来るかもわからない状況下で戦ってきた。「毎年違うし、もっと言えば毎ゲーム違う」というコンディション。それでも「波のないようにと思っているし、しっかりとした準備はできているのかなと思う。一番は心の準備。スイッチのオン・オフは自分でもできていると思う」と胸を張る。

 この日はいきなり走者を背負ったが「ヒットを打たれてもチームが勝てばいい。ランナーを還さず粘り強く投げられたらいい」と、“3人でぴしゃり”というスタイルには決してこだわらないのが森の信条だ。

 工藤公康監督は「本当によくやってくれているし、守護神と言えるだけの活躍でここまで来てくれた。3連投でも4連投でもというタフネスぶりも健在。これからも150、200とどんどん伸ばしていってほしい」と称賛した。

 ルーキーイヤーから50試合以上の登板が続いているが、シーズンの試合数が減った中でも「そこはクリアしたい。残り試合、全部投げるつもりで準備します」とこだわりを見せた。

プロ初セーブは2016年5月、5連投中のサファテの“代役”で登板

 2013年のドラフト会議で2位指名を受けて入団した森は、1年目から1軍の中継ぎメンバーに。プロ初登板は2014年5月11日の埼玉西武戦。6点リードの9回2死から登板し、秋山翔吾(現レッズ)を二塁ゴロに抑えて試合を締めた。

 プロ初セーブは2016年5月8日の楽天戦だった。5連投中のサファテの“代役”として9回を任され、3者凡退を記録している。

 その後もサファテに繋ぐ勝ちパターンの1人として役目を全う。2018年4月にサファテが股関節を痛めて帰国してからは、守護神を担ってきた。同年9月18日から25日にかけて7試合連続セーブの日本記録も達成。シーズン37セーブでタイトルを獲得した。翌2019年は35セーブを挙げ、今年8月には100ホールドを達成。10月11日の今季26セーブ目で通算100セーブに到達した。

 守護神は、抑えて当たり前、失敗すれば敗戦の責任を1人で負うという厳しいポジション。もちろん森にも苦い経験がある。

 最初の失敗は2018年5月4日のオリックス戦だった。1点リードの9回にマウンドに上がった森は、1死から連打を浴び一、三塁とされて降板。続くモイネロがタイムリーと犠飛を許して逆転負け。森は2失点で負け投手となった。

 同年6月27日の沖縄での北海道日本ハム戦では、2点リードで登板するも本塁打、適時打で同点とされ、最後は押し出し四球を与えてサヨナラ負けを喫した。2019年にも5月までに3度の失敗を経験し、今季も7月2日の北海道日本ハム戦で逆転サヨナラを許している。

 それでも積み上げてきた100セーブという数に比べれば、ほんのわずかな数字。失敗という経験値が森の心を強くし、工藤監督にも「彼が投げて負けたら仕方ない」と言わしめるまでの存在となったことは間違いない。

 大親友でもあるサファテから、きっとお祝いのメッセージも届くことだろう。200セーブとは言わず、サファテが成し遂げられないままの250セーブという記録に向かって、これからもタフネス右腕は投げ続ける。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

記事提供:Full-Count

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