「吉田」選手は12球団で8人も!? オリックスが誇る「吉田三人衆」をピックアップ!
プロ野球選手に多い名字といえば、思い浮かべるものはあるだろうか。NPBの選手検索で調べてみたところ、名字ランキングで上位に名を連ねるであろう「佐藤」は8人、「鈴木」は12人、「高橋」は11人の現役選手がヒット。山本由伸投手に代表される「山本」は、5選手と思いのほか少ない結果となった。
そんな中、予想外に多かったのが「吉田」である。現在、現役選手では8人もの吉田選手がプレーしている。思えば、オリックス・吉田正尚選手や、北海道日本ハム・吉田輝星投手など、印象的な選手も多い。今回はそんな中でも、12球団トップの吉田率を誇るオリックスの「吉田三人衆」をピックアップ。彼らの奮闘ぶりを知り、残りのシーズンのオリックス・バファローズにも熱い視線を届けよう。
スライダーが生命線の若き「凌」がついに開花!三人衆の中で最年長の「一将」は、渋い活躍でチームに貢献
〇吉田凌投手
・今季成績 27試合 2勝 2敗 4ホールド 防御率2.74(10月5日時点)
今季大きな飛躍を果たしたのが吉田凌投手である。東海大相模高校出身の5年目右腕は、高校時代からその実力を見せつける。2年夏の県大会決勝では、9回途中20奪三振の快投で甲子園切符をつかむと、3年時には、中日・小笠原慎之介投手とともにチームを引っ張り、見事全国制覇を果たした。その後、15年のドラフト5位でオリックスに入団した。
吉田凌投手の生命線となっているのが、切れ味鋭いスライダー。縦方向に鋭く変化するこのスライダーで高校時代から多くの打者を手玉に取ってきた。しかし、やはりプロの世界は厳しい。吉田凌投手のスライダーをもってしても、4年目まで一軍ではわずか5試合の登板に終わっていた。
そんな吉田凌投手の転機は、「シュート」の習得だ。昨季後半からコーチに勧められ、徐々に精度が上がってきたという。今季は7月中旬に一軍昇格すると、そのキレのあるシュートと生命線のスライダーのコンビネーションで相手打者を翻弄。右打者の胸元にシュート・ストレートを投げ込むハートの強さも携え、初登板から7試合連続無失点を記録した。8月15日の福岡ソフトバンク戦では、うれしいプロ初勝利を挙げるなど、ここまで27登板で防御率2.74という数字を残している。なお、23イニングを投げ、被安打わずか10、イニング数を上回る27奪三振と内訳も素晴らしく、やはりシュートの習得が、奪三振能力の高い吉田凌投手のスライダーをより引き立たせているといえそうだ。
現在最下位に沈むオリックスだが、吉田凌投手がセットアップとして君臨し、勝ち星を積み上げていく未来はそう遠くはないはずだ。
〇吉田一将投手
・今季成績 21試合 1勝 1敗 1セーブ 防御率3.51(10月5日時点)
中継ぎ陣の骨子としてチームを支え続けているのが、吉田一将投手だ。今季は開幕一軍スタートを果たすと、ここまで21試合の登板で先発が2度、複数イニングが8度とマルチな役回りでチームに貢献。8月15日には、17年以来3年ぶりの先発登板ながら3回2安打無失点で役割を全うした。一転、9月10日の埼玉西武戦では、2番手として4イニングを2失点に抑え、16年以来のセーブを挙げるなど、柔軟な起用にも臆さない。
もともとは、JR東日本時代に社会人No.1投手として名を馳せた吉田一将投手。13年のドラフトでは、松井裕樹投手や大瀬良大地投手、森友哉選手が目玉として名前が挙がる中、オリックスが単独1位で指名したことからも、当時の吉田一将投手に対する評価の高さがうかがえよう。
ルーキーイヤーこそ先発要員として15試合で5勝6敗、防御率3点台の成績を残したものの、2年目はわずか1勝止まり。「即戦力ドラ1右腕」の重責を担い、大きな期待を受けながらも、先発としては勝てない日々が続いていた。転機となったのは3年目のシーズンだ。これまでと異なり、ブルペン要因として調整を進めたことが功を奏し、ほぼフルシーズン一軍に帯同。自己最多の54試合に登板し、防御率2.66、チームトップの26ホールドポイントで、リリーバーとして新たな地位を築き上げた。以降は、中継ぎ起用を中心に、時にはロングリリーフ、チーム事情によっては先発要員としても、与えられた役割をしっかりとこなす吉田一将投手のスタイルが確立。その柔軟さは、チームにとってかけがえのない大きな武器といえるだろう。現在、肩甲帯のコンディショニング不良と診断され、今後は患部の状態を見ながら調整していく方針だという吉田一将投手。来期以降のオリックスの飛躍に向けて、その復活を首を長くして待とう。
吉田界No.1バッター・「正尚」のフルスイングと選球眼に注目。自身初の打撃タイトル、そして世界へ!
〇吉田正尚選手
・今季成績 91試合 打率.357 12本塁打 56打点 出塁率.457 OPS.983(10月5日時点)
※打率1位・出塁率2位・OPS3位・得点圏打率1位(リーグ成績)
そして、何といっても忘れてはならない「吉田」こそ、吉田正尚選手である。開幕当初の6月こそ打率2割台だったものの、7月以降は毎月打率3割を超える安定感でチームをけん引。ここまで、打率・得点圏打率の2項目でリーグトップ。出塁率も、僅差で2位につけており、自身初の打撃タイトル獲得は大いに射程圏内だ。
吉田正尚選手といえば、豪快なフルスイングがいちばんの魅力だ。しかし、吉田正尚という打者の凄みはそれだけにはとどまらない。特筆すべきは出塁率の高さにある。吉田正尚選手は2年目以降、打率3割台をマークし続けているが、実は出塁率4割以上を常にキープ。打率に比べて、およそ1割ほど高い出塁率を維持し続けているのだ。さらに、度肝を抜くのが「三振の少なさ」だ。今季10月5日まで喫した三振はわずかに「23」で、規定打席に到達している中では2位の中村晃選手と「9」もの差を付け、断トツでハーラートップ。首位打者を競う福岡ソフトバンク・柳田悠岐選手が「77」、北海道日本ハム・近藤健介選手が「58」という数字からも、その異常っぷりが見えてくるだろう。このような「選球眼」のハイレベルさこそが吉田正尚選手が辿りついた境地だ。
前述のように、高いレベルでの安定感が持ち味の吉田正尚選手。特に、月間MVPを受賞した8月に関しては打率.430 2本塁打 15打点とまさに打ちまくり、出塁率は.510と驚異的な活躍を見せつけた。実は、昨季も7月(打率.357 7本 21打点)・9月(打率.307 7本 14打点)に月間MVPを手にしている吉田正尚選手。今季も8月11日から9月6日まで24試合連続安打を放つなど、主に夏場以降を得意としているようだ。多くの選手にとって、夏場以降はキャンプや開幕からの疲労が溜まり、パフォーマンスの低下に陥りやすい。そのようなタイミングで猛打を発揮してくれる吉田正尚選手のような存在は、数字以上にチームにとってありがたいことだろう。オリックスの上位進出に向けてはもちろん、2021年の夏に開催される東京オリンピックにおいても、その強さを遺憾なく発揮し、日の丸を世界一へと導いてくれるはずだ。
以上のように、それぞれチームに貢献しているオリックスの「吉田三人衆」。みなさんも、自分の名字と同じ選手を見つけた際には、その運命を感じるとともに、同じ名字どうしでしかできない特別なエールを送ってみてほしい。
文・岩井惇
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