23日からスタジアムグルメを「Uber Eats」で宅配するサービスがスタート
福岡ソフトバンクが22日に発表した球界初となる新サービス。スタジアムグルメをフードデリバリーサービス「Uber Eats」で宅配するというもので、選手メニューなどの球場グルメを自宅などでも楽しめるようになった。サービスは23日からスタートする。
新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が無期限延期となる中で発表されたこの新サービス。“野球ロス”で物足りない思いをしている野球ファンにとって、少しでも野球に触れるキッカケにならないか、との思いでこのタイミングでの実施に踏み切った。
緊急事態宣言により、福岡ソフトバンクの職員たちも在宅ワークを強いられ、難しい状況にある。開幕延期に伴う対応に追われる中でも新サービスに踏み切った思いはどこにあるのか。福岡ソフトバンクの球団担当者に話を聞いた。
「新型コロナウイルスの影響で、今、世の中では野球のみならず、様々なエンターテインメントが枯渇しています。そんな中でも何とかして野球に絡めた食の楽しみを提供しようと考えました。スタジアムグルメを食べて、少しでも野球を思い出してほしいな、と。ちょっとでもファンの人に喜んでもらえるんじゃないかと思い、このタイミングでのスタートを決めました」
“野球ロス”に陥っているファンのために、何ができるか。福岡ソフトバンクは工藤公康監督監修のもとYouTubeで自宅でのトレーニング法を教える「おうちで工藤塾」を公開したり、スタジアムグルメのレシピを公開してファンサービスを図ってきた。この「Uber Eats」でのスタジアムグルメの宅配プランもファンの“おうち時間”を充実させ、少しでも“野球ロス”を埋められるものになるのでは、と思いがあった。
球場グルメのデリバリーサービスは数年前からあったアイデア
球場グルメを宅配する前代未聞のサービスだが、実はアイデアは数年前からあったのだという。「ビジターゲームの時やオフシーズンに、野球をやっていない時にもどう売り上げを作るか、というのは課題でした。これまでスポーツビジネスとして球場が稼働していない時のことは考えられてこなかった」。野球が行われていない時にも、球場内の施設をどう稼働させるか。球団の中でも課題の1つとなっており、それを解決する1つのアイデアが、このデリバリーサービスだった。
これにより、これまで遊休施設となっていた施設を活用させることができ、売り上げもあげることができる。人々の雇用も生まれ、ファンは野球がない時でもお気に入りの選手グルメを楽しむことができる。球団にとっても、テナントを運営する飲食店にとっても、そしてファンにとってもメリットになるものだった。
新型コロナウイルスの感染拡大によりシーズンの開幕は延期となり、緊急事態宣言で人々は外出自粛を強いられるようになった。来店客が減少する中で様々な飲食店がテイクアウトやデリバリーに力を入れ、その重要さが認識されるようになったことで数年間温められてきたアイデアも実際に行われることになった。
「もともとはビジネスの1つとしてデリバリーサービスを思い描いていたというのが正直なところです。ですが、こんな時期だからこそ、ファンの人に、野球に、ホークスに触れてほしいと考え、このタイミングでスタートすることにしました」と球団担当者は言う。
もともとはビジネス的な視点だったとはいえ“野球ロス”のファンにとっては嬉しいサービスであることは間違いない。今後はシーズンが開幕してからも継続して行われ、対象メニューも増える予定だという。「Uber Eats」を利用しちょっとばかり球場気分を味わうのも悪くない“おうち時間”の過ごし方になるかもしれない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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