順位争いと同様、タイトル争いも熾烈
今季のパ・リーグは混戦模様が続いているが、今後は順位争いに加えてタイトル争いに関しても熾烈な展開が予想される。今回は、2026年のパ・リーグにおけるセーブ数ランキングを見ていくとともに、現在リーグ1位のセーブ数を記録している横山陸人投手の、指標面における特徴や強みについても紹介していきたい。
今季のパ・リーグで2桁セーブを記録している投手たちの顔ぶれと、各投手の成績は下記の通り。

千葉ロッテの横山投手が24セーブを挙げ、2位に4個の差をつけてリーグトップに立っている。今季の千葉ロッテで複数回のセーブを記録した投手は横山投手ただ一人となっており、防御率1.35という数字が示す安定感も相まって、まさに絶対的な守護神として君臨している。
オリックスのマチャド投手もリーグ2位の20セーブを記録し、セーブ王の座を射程圏内に捉えている。防御率1.17、奪三振率8.80、K/BB7.50と投球内容も非常に優れているだけに、シーズン開幕前のWBCで母国の優勝に貢献した右腕が、来日3年目で自身初タイトルを手にするという最高の一年を送ることができるかに注目だ。
北海道日本ハムの柳川大晟投手は19セーブを挙げているが、6月は月間防御率5.63と苦しみ、6月25日に一軍登録を抹消された。新人ながらリーグ4位タイの18セーブを記録している埼玉西武の岩城颯空投手も防御率4.15と疲労の色が見え始め、6月24日に一軍登録を抹消。両投手が後半戦で巻き返しを見せるか否かも、タイトル争いに影響を及ぼしそうだ。
そんな中で、昨季のセーブ王でもある福岡ソフトバンクの杉山一樹投手が5月に月間防御率0.00、6月に同0.93と一軍復帰後は快投を見せている。東北楽天の守護神として18セーブを挙げている藤平尚真投手も、5月は月間防御率8.53と苦しんだが、6月は7試合で無失点と復調を示した。両投手ともに、今後の展開次第では再びタイトル争いに加わり得る存在だ。
キャリア初期は安定感に課題を抱えていたが……
続いて、現時点でパ・リーグのセーブ数ランキングでトップに立っている横山投手がこれまで記録してきた、年度別の指標について見ていきたい。

2021年は奪三振率10.24、2022年は同13.50と、キャリア初期は登板数こそ少なかったものの、非常に高い奪三振率を記録。続く2023年にも39.1イニングで42個と投球回を上回る数の三振を奪い、奪三振率も9.61と登板機会が増える中でも優秀な成績を維持していた。
その一方で、防御率に関しては2021年が4.66、2022年が27.00、2023年が5.26と、高い奪三振率とは裏腹に投球の安定感には課題を抱えていた。ただし、この期間は3年連続で被BABIPが.352以上と、一般的な基準値である.300を大きく上回っている。
被BABIPは一般的に投手自身がコントロールすることが難しく、運に左右される側面が大きい指標と考えられている。キャリア序盤に実力面の課題から被BABIPが悪化するケースも存在するが、優れた奪三振率を記録しながら防御率の面では苦戦していた2023年の横山投手に関しては、被BABIPの高さという不運が成績に影響した可能性は否めない。
しかし、2024年は奪三振率7.93、2025年は同7.51と、直近2年間の奪三振率はやや控えめな水準となっている。そして、今季の奪三振率は6.48とキャリアで最も低い数字となっており、近年は打たせて取る投球へとシフトしつつあることがうかがえる。
制球力を生かした、打たせて取る投球へのシフトが奏功
それに伴い、防御率も2024年が1.71、2025年が2.08と劇的に改善され、今季はキャリアベストの防御率1.35という数字を記録している。直近3シーズンはいずれも被打率.185以下、被BABIP.230以下と安打を許すケースも大きく減少しており、投球スタイルの転換によって飛躍的に安定感が高まったことが示されている。
横山投手が投球スタイルの転換を実現できた理由の一つとして、一定以上の制球力を備えているという点が挙げられる。一軍での登板機会が増加し始めた2023年の与四球率は4.12とやや高かったが、2024年は2.79、2025年は2.56と2年続けて優れた数字を記録。今季の与四球率は3.78と少なからず上昇しているが、投球の安定感は健在だ。
被安打と与四球の双方が少ないことは、1イニングごとに出した走者の平均数を示す「WHIP」という指標にも好影響をもたらしている。2024年以降は3シーズン続けてWHIPが1.00未満、すなわち1イニングで許した走者の数が一人以下となっており、走者を溜めるケースの少なさが、防御率の改善にもつながっていると考えるのが自然だろう。
横山投手が2名の偉大な先達に続くか
タイトルが「最優秀救援」から「最多セーブ」に変更された2005年以降において、千葉ロッテ在籍時に同タイトルを獲得した投手は、小林雅英氏と益田直也投手の2名のみ。いずれも通算200セーブ以上を挙げた実績を持つ偉大な先達たちに続き、横山投手も抑えとしての勲章を手にできるだろうか。
そして、マチャド投手、柳川投手、岩城投手、杉山投手、藤平投手といった各チームで抑えを務めた投手たちが、横山投手のタイトルレース独走に待ったをかけるか。杉山投手を除く5名にとってはいずれも自身初タイトルとなることも含めて、後半戦も最多セーブをめぐる争いに注目していく価値は大いにあることだろう。
(※記録は7月15日の試合終了時点)
文・望月遼太
