右ひじのトミー・ジョン(TJ)手術を米国で受けたオリックスの山下舜平大投手が、来年5月の復帰を目指しリハビリに取り組んでいる。
「手術から1年後に復帰と決まっているんで。6月に復帰するか、5月に復帰するかでは大きな差があるので、すぐに手術を決めました」。6月3日、大阪・舞洲の球団施設でリハビリを終えた山下が、真っ直ぐに前を見据えた。
山下は、福岡大大濠高から2020年ドラフト1位でオリックスに入団。3年目に開幕投手で1軍デビューを果たすと、9勝3敗、防御率1.61で新人王に輝いた。しかし、翌年は3勝(6敗)、25年もわずか4試合登板で1勝にとどまった。
成長に伴う腰痛などの故障に苦しんだプロ生活だったが、今季はオフからトレーニングを継続。元日の夜に地元福岡から帰阪して2日からトレーニング施設で汗を流し、4日には舞洲の室内練習場に一番乗りした。腰への負担を軽減するため、体の傾きを修正し腕を下げる新しいフォームを取り入れ、新球種の「スラッター」にも取り組み、開幕投手候補に挙げられるほど、順調だった。
しかし、オープン戦で右ひじを痛めて開幕一軍を外れ、復帰を目指したが思うような回復はできなかった。快方に向かっては、また痛みがぶり返す状態。「徐々に体の反応を見ていると、(TJ手術が)必要になるのでは」と思ったそうだ。温存療法も選択できたが、確実に治る保証はないと説明も受けた。「確実に治るなら手術しかない」と決断するのに時間はかからなかった。
「(手術を)やらなくていい選択肢もあったのですが、それではもう160kmは投げられないだろうと思いました。そう考えたらリスクを多少、背負ってでもやらないと、と。自分の野球人生なんで。160kmが必要なんです、自分には。パワーピッチングが必要なんです」と真情を吐露する。
TJ手術のなかでも、復帰までの期間が短い「ハイブリッド方式」に決めた。国内でも可能だったが、症例が多く大谷翔平投手(ドジャース)らを執刀した名医による手術を球団に相談し、認めてもらった。前例はなかったが快く承諾してくれたことに「自分の(将来の)ことを考えてくれ、『いいよ』と言っていただけました。感謝しかありません」と山下。
「こんな日がくるとは、自分が一番驚いています。装具をつけるたびに、TJ手術をやったんだなと」。手術から約3週間。まだ実感はないという。装具を外すのは、入浴時とリハビリでの治療時だけ。食事も左手を使う。「いい時間になると思います。いい時間にしないと、終わりです」。復帰した時、ニュー・シュンペイタでチームに貢献する。
取材・文=北野正樹