オリックスの西川龍馬選手が、開幕から先発出場を続け打撃でチームを引っ張っている。手にするグラブは故障で戦列を離れている廣岡大志選手のもの。早期復帰を願う思いが込められている。
「ただ、カッコいいから使っているだけです。ロッカーに大志のグローブがあったので、ちょっと借りてやろうかと思って。早く帰ってきてほしいという思いですか? もちろん持っています」。いつもとは違うグラブのことを尋ねると、シャイな西川らしく最後に本音を漏らしてくれた。
廣岡は、下半身のコンディション不良で4月18日に登録を抹消され、2軍でリハビリ調整中。西川によると「ロッカーの奥にあって、明らかに使っていなさそうなヤツ」だったそうで、「サイズ感。僕は元々、小さいグラブを使っていて、大きいのを試してみようかなと思って。扱いやすいかはわかりませんが、シンプルにカッコいいんです」という。“無断使用”のようだが、廣岡と一緒に戦っているという思いが一番であることは間違いない。
広島から移籍して3年目の西川は、打撃好調だ。開幕直後の4試合で16打数7安打、打率.438。4月中旬から11試合連続安打を放ち、うち4試合でマルチ安打を放っている。主に「3番・左翼」として、ただ一人、開幕から先発出場を続けている。
それでも、「(11試合でマルチが)4度ですか。半分以上は欲しかったですね」と西川の表情は晴れない。打撃内容についても「状態は良くないです。ただ、(打球が)飛んだところが良かっただけ。もっと打たないと」と厳しく自分を見詰める。
移籍1年目は、チームトップの11盗塁を記録したが、打率.258にとどまった。パ・リーグの投手にも慣れた2年目は、終盤に足のけがで離脱し規定打席に31打席足りず首位打者は逃したものの、打率.310をマークした。
2年目は「ノンプレッシャー」と公言し、巧みなバットコントロールで安打を量産した。3年目は「プレッシャーを感じています」と明かす。「去年はある程度できたんで、今年もあれくらいはやらないといけない。むしろ、あれ以上、やらなければいけない。相手もそれなりに研究してくるし、簡単には打たせてもらえません。試行錯誤しながらやっていますが、心地よいプレッシャーではありません」と真情を吐露する。
西川について、松井佑介・1軍外野守備走塁コーチは「今は友哉(森)がキャッチャーの時はシーモアがDHに入ったり、健矢(若月)が守ると友哉がDHに入ったりする状態が続いているので、そこは(岸田護)監督も悩みどころだと思います。龍馬も昨年の足のことがあるんですが『大丈夫です』と言ってくれて、ありがたいことです」と感謝する。
前を打つ2番は、打撃開眼でブレイク中の渡部遼人選手。一塁走者として単打でも3塁を陥れる走力に「チーム的に、すごくでかい。出ればあれくらいやってくれると思っていました」と活躍に目を細める。「あの小さな体ですごいです。僕もあんな選手になりたいです。全部です。選球眼もいいし、確率が高いし打てて守れる。特に足と守備ですね」。11年目のベテランが、5年目の若手の躍動に刺激を受け、高みを目指す。
取材・文=北野正樹