
◆パ・リーグ オリックス4―2日本ハム(25日・京セラドーム大阪)
オリックス・吉田輝星投手(25)は、気持ちを高めた。ブルペン総出で背中を押されてマウンドに向かったのは、1点を返され、なおも7回2死満塁のピンチだ。打席には昨季の本塁打王・レイエス。142キロの内角シュートで詰まらせ、1球で一邪飛に仕留めた。25年3月に受けた右肘のトミー・ジョン手術から復帰し、574日ぶり1軍登板。「1年間、想像していた空間。盛り上がってよかった」と雄たけびを上げた。
リハビリに明け暮れた25年のある日、日本ハム時代の先輩・伊藤に連絡を取った。「本当に迷惑になるということは分かっていたんですけど…」。肘への負担が軽減される体の使い方を質問すると、沢村賞右腕は左足の踏み込みを改善するドリルを丁寧に教えてくれた。本格的にブルペン投球が再開できた10月には胸郭の可動域が狭くなったことを実感。体を大きく使う意識を持つため、ステップを踏んで三塁から一塁へ対角線上に投げるメニューを追加した。焦る気持ちを抑え、工夫も凝らし、完全復活への道を歩んできた。
24年9月28日の楽天戦(楽天モバイル)以来となる公式戦で今季初ホールドを記録し、チームは京セラDで球団新記録の10連勝。岸田監督は「輝星は制球に自信を持っているし、初球のツーシーム(シュート)をあそこに投げられる技術も度胸もある。1球で流れを止めてくれた」と称賛した。「一緒にリハビリを乗り越えてきた人に感謝したい」。金足農3年時の18年夏、秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続完投勝ちを収め、巻き起こした「金農旋風」。苦労を乗り越えた輝星の第2章が幕を開けた。(南部 俊太)