
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
3月のWBCで侍ジャパンは史上初の8強敗退となった。マイアミでの準々決勝・ベネズエラ戦で敗戦投手となったのは日本ハム・伊藤大海投手(28)。僅差で重圧のかかる6回に登板し、アブレイユ(Rソックス)に逆転3ランを被弾した。「たら、れば」は禁物の世界だが、好投していれば書きたかった“よもやま話”がある。
伊藤は北海道・鹿部町出身。徒歩3分ほどで内浦湾が目の前に広がる場所に自宅があった。名前の通り、身近な存在だった大きな海が遊び場だった。「普段野球をしている時は“対人間”ですけど、釣りは“対自然”。なかなかうまくいかないところも多い。別の競技として捉えています」。趣味である釣りのだいご味を語るときは、素朴な青年に戻ったようだ。
船や砂浜からブリやヒラメを狙う。「グーグルマップ」や「海図アプリ」を駆使して地形を見ながらポイントを探す。大物を狙って釣れない時間も、ルアー(疑似餌)を投げるキャスティングを繰り返す時間も、リラックスできるひとときだ。自己ベストはヒラメが74センチ。十分過ぎるサイズだが、さらなる高みを目指し、80センチ到達まで魚拓は取らないと決めている。
メジャー軍団を相手に好投し「金星を釣り上げた」と、頭の中で見出しをイメージしながら原稿の構想を練っていた数分後の“悲劇”は、私にとっても忘れられないシーンとなった。メジャーの猛者たちとの対戦経験は、伊藤にとっても大きな糧となるだろう。28年にはロス五輪がある。雪辱を果たす舞台に、また戻ってきてほしい。(野球担当・長井 毅)
◆長井 毅(ながい・つよし) 11年入社。侍ジャパン担当。好きな地元の番組はテレビ愛媛「決定版! チョーさんの釣り情報」。