中田翔、現役引退。 パで3度の打点王、セでも爪痕を残した「大将」の18年

パ・リーグ インサイト

2025.9.18(木) 08:00

2016年・北海道日本ハム時代の中田翔選手 ©パーソル パ・リーグTV
2016年・北海道日本ハム時代の中田翔選手 ©パーソル パ・リーグTV

 中日ドラゴンズの中田翔選手が8月15日、2025シーズンをもって現役から引退することを発表した。パ・リーグで3度の打点王を獲得し、北海道日本ハムのリーグ優勝・日本一にも貢献した中田選手。巨人・中日移籍後も含めた18年を振り返る。

初安打、初本塁打はいつだった?

北海道日本ハムでの打撃成績 ©PLM
北海道日本ハムでの打撃成績 ©PLM

 大阪桐蔭高校時代に春夏合わせて甲子園に3度出場、4本塁打を記録し、プロ入り前から将来を嘱望されていた。2007年高校生ドラフトではオリックス、阪神、福岡ソフトバンク、北海道日本ハムの4球団に1巡目で指名された中田選手。交渉権を獲得した北海道日本ハムへ入団する。

 プロ初出場は2年目の2009年、札幌ドームで行われた5月23日・東京ヤクルト戦。「7番・DH」で初スタメンに抜てきされ、初打席で初安打となるレフト前安打を記録した。同年9月27日・福岡ソフトバンク戦では犠牲フライで初打点を挙げる。待望のプロ初ホームランは、プロ3年目の2010年・7月20日千葉ロッテ戦。通算91打席目に、札幌ドームのレフトスタンドに放り込んだ。

 レギュラーに定着したのは143試合に出場したプロ4年目の2011年以降。2012年には144試合スタメンを張り続けてリーグ優勝に貢献した。リーグ2位の28本塁打、打率は初めての3割、長打率.550の好成績だった2013年はベストナインを初受賞すると、2016年まで4年連続で同賞に選出された。

2014年、2016年、2020年に打点王を獲得

 中田選手のキャリアで燦然と輝くのが、3度の「打点王」の実績。2014年は初めてシーズン100打点に到達し、自身初の打撃タイトル獲得となった。

 2度目は、北海道日本ハムが4年ぶりにパ・リーグを制した2016年。141試合に出場してチームを引っ張った中田選手は、キャリアハイとなる110打点で打点王を獲得。この年はポストシーズンも好調で、クライマックスシリーズではMVP、さらに日本シリーズでも第4戦に本塁打を放つなど、球団10年ぶりの日本一にも貢献した。

 パンデミックの影響で120試合の短縮シーズンとなった2020年。中田選手は大阪桐蔭高校の後輩である浅村栄斗選手と最終戦までホームラン王争いを演じ、注目を集めた。最終結果は中田選手が31本、浅村選手が32本。1本差で最多本塁打のタイトルに及ばず、打撃二冠も叶わなかったが、108打点で自身3度目の打点王に返り咲いた。

中田翔の長打力が現れた、歴代2位の1シーズン「13」

 勝利のために打点を積み上げてきた中田選手。そのプレースタイルの現れともいえるのが「犠飛」の数だ。2018年に13犠飛を打っているが、これは1シーズンの犠飛の数として、大杉勝男氏に次ぐ歴代2番目の記録として今も残っている。また、通算76犠飛(2025年8月25日時点)は歴代15番目。現役時代の多くを広い札幌ドームでプレーをしてきた中田選手が、チャンスで長打力を発揮してきたことがうかがえる。

 バッティングに目を奪われがちだが、守備も一級品。三井ゴールデン・グラブ賞を2015年に一塁手で初受賞すると、2016年、2018年、2020年と北海道日本ハム時代だけで4度も選ばれている。

晩年はセ・リーグで。2022年は巨人で109試合出場

巨人での打撃成績 ©PLM
巨人での打撃成績 ©PLM

 2021年8月に巨人へトレード。移籍初年度の成績は34試合3本塁打、打率.154だった。しかし、移籍2年目となった2022年はファーストのレギュラーに定着し、オールスターゲームにファン投票で選出(その後新型コロナウイルス陽性判定で出場辞退)。8月23日には平成生まれでは初となる通算1000打点を達成。3年ぶりに100試合以上に出場し2桁本塁打を放った。セ・リーグでは初めて三井ゴールデン・グラブ賞を受賞し、攻守で復活を印象づけた。

 2023年8月6日には故郷・広島でプロ野球史上45人目となる通算300本塁打を達成。こちらも平成生まれの選手では初の快挙だ。一方でシーズン成績は前年より低迷。オフに巨人からの退団、そして中日への移籍が発表された。

中日での打撃成績(2025年8月25日時点)©PLM
中日での打撃成績(2025年8月25日時点)©PLM

 中日の一員として迎えた2024シーズン開幕戦。「4番・ファースト」でスタメン出場した中田選手は、同点で迎えた5回表にレフトスタンドへホームラン。試合には敗れてしまったものの、早速持ち味を発揮した。ところが故障に見舞われ、62試合で4本塁打21打点と振るわず。

 そして今季も「6番・ファースト」で開幕スタメン。36歳の誕生日だった4月22日には今季2号ソロを打ったが、腰痛のため5月13日に出場選手登録から抹消。8月7日に再昇格するも5日後に再び抹消され、現役引退の表明に至った。

4番が似合う「大将」を忘れない

 北海道日本ハムー巨人ー中日と活躍の場を移しながらも、2010年から今季まで16年連続で開幕スタメンを飾り、オールスターには計10回選出。国際大会でも日本打線の中心として期待され、2013年と2017年にWBC、2015年プレミア12にも出場した。「大将」のニックネームで愛され、「4番」が似合う中田選手。9月19日、バンテリンドームで引退セレモニーが行われるとのこと。パ・リーグファンにとっても、目に焼き付けたい試合になりそうだ。

文・菊地綾子

関連LIVE配信

特集
特集
パ・リーグ.com ニュース

中田翔、現役引退。 パで3度の打点王、セでも爪痕を残した「大将」の18年