昨季のプロ初白星から無傷の7連勝でNPB記録を更新

2021年のドラフト1位で北海道日本ハムに入団した達孝太投手。昨年10月3日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げると、今季はここまで10試合に先発し、6勝1敗、防御率1.60の好成績をマーク。7月14日の西武戦ではNPB新記録となるデビューから全試合先発での7連勝を記録したほか、マイナビオールスターゲームにも初出場を果たした。今コラムでは、高卒4年目のシーズンで快進撃を続ける達投手のピッチングを深掘りしていきたい。
打者の左右を問わず、直球とフォークのコンビネーションで勝負

まずは今季の球種別投球割合を見ていこう。ここまでは打者の左右を問わずストレートとフォークが中心の配球となっており、実にその2球種で全体の7割以上を占めている。今春のキャンプで改良に着手したスライダーなど曲がり球を織り交ぜつつ、194センチの長身から投げ下ろす150キロ超の直球と鋭く落ちるフォークのコンビネーションが投球の軸となっているようだ。
不利なカウントで主に投じるのはフォーク

次に、カウント状況別の投球割合を見ていきたい。いずれのカウントでもストレートとフォークの2球種が中心となっているのに変わりないが、ボール先行時にフォークの投球割合がストレートを上回る42.3%まで上昇している。一般的にボールカウントが先行している場合、投手はストライクゾーン内に制球しやすい速球系を投じることが多い。不利な状況でフォークを多投する達投手の投球は極めて特徴的だといえるだろう。
フォークの半分以上をストライクゾーンに投じる

カウント状況を問わず積極的に使っている達投手のフォークには、ストライクゾーン内へ投げ込む割合が高いというデータも出ていた。フォークといえば低めのボールゾーンに落とす球種というイメージを持つ方も多いだろう。しかし、達投手のフォークはストライクゾーン投球割合がリーグで2番目に高い52.3%と、半数以上がゾーン内に投げ込まれているのだ。それに伴い、フォークのストライク率はリーグ平均よりも約8ポイント高い72.8%をマーク。これはストレートのストライク率69.3%を上回る数字であり、カウントを整える球種として効果的となっている。
ゾーン内でも打者が捉えられない切れ味

ボールカウントが先行し、打者が甘い球を狙いに来る場面でもストライクゾーンに投げ込めるのは、達投手のフォークは被打率が優れているという裏付けがあるからだ。ここまでフォークの被打率は.155と、並み居る好投手と並んでリーグ上位の好数字をマーク。また、ボールゾーン投球時のフォークは被打率.171なのに対し、ストライクゾーン投球時は同.145とさらにバッターを打ち取れている点も大きな特徴だ。打者を追い込んだ後の決め球として用いるのはもちろん、カウントが不利な状況ではゾーン内へ投じて凡打を誘うための球種にもなっており、フォークによって打者を打ち取るパターンが確立できているといえるだろう。
また、優秀な持ち球を駆使してゾーン内で勝負できれば、投球数や与四球の減少にもつながる。ここまでの2完投という数字が表しているように、フォークは長いイニングを投げるためにも効果的な球種となっているはずだ。
昨オフには全額自己負担で渡米して最先端のトレーニングに励むなど、あくなき向上心を持つ達投手。チーム内では同学年で同期入団の柳川大晟投手や福島蓮投手らも頭角を現す中、世代を代表する投手へと着実に歩みを進めている。ここまで鮮烈な活躍を見せている21歳の躍進はまだまだ止まらない。
※文章、表中の数字はすべて2025年8月7日終了時点
文・データスタジアム
