日本ハムの余力の正体 新庄監督が4年間で作り上げた“ターンオーバー起用” 

スポーツ報知

2025.7.10(木) 06:00

初回無死、先制の満塁本塁打を放ったレイエス(左)を迎える新庄監督(カメラ・越川 亙)

◆パ・リーグ ロッテ1―13日本ハム(9日・ZOZOマリン)

 日本ハムは17安打で今季最多の13得点を挙げ、ロッテに大勝した。先発の山崎は1失点完投で4勝目。チームは今季最多タイの5連勝で貯金を同最多の16まで増やし、首位を堅持した。今季は80試合で80通りのスタメンを組む日替わり打線でリーグトップの295得点。レイエスや清宮幸といった主力も休ませながら戦う“新庄流ターンオーバー”の狙いを日本ハム担当の川上晴輝記者が「見た」。

 日替わり打線の勢いは最後まで止まらなかった。ロッテ投手陣に17安打を浴びせ、今季最多13得点で大勝。試合後、新庄監督は「打線は選手に聞いて。もう覚えていない」と一言。直近5試合で65安打、45得点を奪う絶好調の攻撃陣へ、最大限の賛辞を贈った。

 好調の要因は新庄流の“ターンオーバー起用”にある。ターンオーバーとは、サッカーなどで、先発メンバーを大幅に入れ替え、フレッシュな状態を保つようにするマネジメントのこと。今季は80試合で80通りのスタメンを組み首位を守る。指揮官は「この4年間で1チームで勝てるチームを2チーム作りたかった。今は誰を送り出しても戦力」。時には、本塁打、打点2冠のレイエスをスタメンから外すなど、4年間で築き上げた抜群の選手層に自信を持っている。

 今季は春季キャンプから「けがをしたら置いていく。大きなけがになる前に治す」と宣言し、予防を徹底した。6連戦が続いた交流戦の最終週、6月19日の巨人戦(東京D)では前日からスタメンを7人入れ替え、セ・リーグ防御率トップの山崎から勝利を収めた試合もあった。

 傷害予防などを指導する芹沢S&C(ストレングス&コンディショニング)担当は「6連戦を戦う中で、体の疲労度が全然違う」と休養の重要性を証言。その成果もあって今季は、野村が左脇腹痛で1か月の離脱があった程度で、長期離脱をする選手はゼロに等しい。

 選手間にも指揮官の考えは浸透している。今季8発の水谷は「もちろん試合に出たいけど、今のファイターズは誰が出ても勝てる」。捕手、内野手、外野手でスタメン経験のある郡司は「何でもやる。清宮や野村は、すぐけがをするんで少しは休ませないと」とチームの勝利を最優先している。

 就任4年目。余力を持った新庄ハムが、9年ぶりのリーグ優勝と日本一を引き寄せる。(川上 晴輝)

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