捲土重来の活躍を見せる功労者たち。序盤戦で活躍する6名のベテランに要注目

パ・リーグ インサイト

2025.5.24(土) 08:00

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手 【写真:球団提供】
福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手 【写真:球団提供】

長いシーズンにおいて、経験豊富なベテランの存在は大きな力となり得る

 長いシーズンを戦い抜くにあたって、シーズンの過ごし方を熟知しているベテラン選手の存在は、チームにとって大きな力となり得る。とりわけ、今季はパ・リーグ各球団においてベテラン選手の活躍が目立っているだけに、各選手の存在価値はますます大きくなってきそうだ。

 今回は、2025年のパ・リーグで活躍を見せている30歳以上の選手たちを、各球団につき1名ずつピックアップして紹介。序盤戦における各々の貢献をあらためて振り返るとともに、残るシーズンでのさらなる活躍にも期待を寄せたい。(※成績は5月18日の試合終了時点)

石井一成選手(北海道日本ハム)

石井一成選手 年度別成績 ©PLM
石井一成選手 年度別成績 ©PLM

 石井一成選手は大卒1年目の2017年に、自己最多の114試合に出場して即戦力として奮闘。その後も二塁、遊撃、三塁をこなすユーティリティ性を活かし、2021年から2年連続で100試合以上に出場するなど、内野のスーパーサブとして随所で存在感を放ってきた。

 通算打率.220、通算OPS.604とキャリアを通じて打撃面に課題を抱えていたが、今季は打率.345、OPS.856と非常に優れた数字を残している。プロ9年目にして覚醒の兆しを見せているだけに、このまま好成績を維持してキャリアハイのシーズンを送れるかに注目だ。

鈴木大地選手(東北楽天)

鈴木大地選手 年度別成績 ©PLM
鈴木大地選手 年度別成績 ©PLM

 鈴木大地選手はプロ2年目の2013年からレギュラーに定着。内野の全ポジションに加えてレフトの守備もこなした万能性と安定した打撃を武器に、不動の主軸として千葉ロッテを支えた。そして、東北楽天への移籍1年目となった2020年には自己最高の打率.295を記録するなど、移籍後もチームの中心選手として活躍を続けてきた。

 今季も打率.268、出塁率.348とキャリア平均に近い打撃成績を残しており、プロ14年目を迎えた現在も安定感は健在だ。スタメンのみならず、代打での出場機会も少なくない中で着実に結果を残している35歳のベテランは、精神的支柱としてチームに欠かせない存在であり続けている。

中村剛也選手(埼玉西武)

中村剛也選手 年度別成績 ©PLM
中村剛也選手 年度別成績 ©PLM

 中村剛也選手は6度の本塁打王と4度の打点王に輝き、歴代10位となる通算481本塁打を記録。24年間のプロ生活を通じて、近年のNPBを代表する和製大砲の一人として比類なき実績を積み上げ、生え抜きの中心選手として3度のリーグ優勝にも貢献した、まさに生けるレジェンドと形容できる存在だ。

 2024年は58試合で打率.191と極度の不振に陥っていたものの、今季は28試合で3本塁打、打率.282、OPS.849と好成績を記録している。41歳を迎えた今もなお強打者として大いに存在感を放っているだけに、今後はあと19本に迫った通算500本塁打の大台到達にも期待したいところだ。

藤岡裕大選手(千葉ロッテ)

藤岡裕大選手 年度別成績 ©PLM
藤岡裕大選手 年度別成績 ©PLM

 藤岡裕大選手はプロ1年目の2018年に全143試合に出場し、その後も遊撃手の主力として活躍。安定した打撃と直近3年間はいずれも.095を上回るIsoDを記録した選球眼に加えて、近年は三塁手や二塁手としても出場を重ね、攻守にわたって幅広い役割をこなしてチームを支えている。

 今季は開幕直後こそ不振に陥っていたものの、4月は月間打率.271、5月は同.302と徐々に状態が向上。二塁手のレギュラーを務めながら、打率.256、出塁率.352、OPS.720とチャンスメーカーとして奮闘を見せ、苦戦が続く打線の中で気を吐く存在の一人となっている。

阿部翔太投手(オリックス)

阿部翔太投手 年度別成績 ©PLM
阿部翔太投手 年度別成績 ©PLM

 阿部翔太投手はプロ2年目の2022年に44試合で22ホールド3セーブを挙げて防御率0.61と安定感抜群の投球を見せ、チームがリーグ優勝を決めたシーズン最終戦では胴上げ投手を任された。続く2023年には自己最多の49試合に登板して21ホールドを記録し、チームのリーグ連覇に大きく貢献している。

 2024年は17試合の登板にとどまったものの、今季は5月18日の時点で11試合と昨季に迫るペースで登板を重ね、防御率1.80、奪三振率9.00と好投している。28歳でプロ入りしてリーグ連覇に貢献した遅咲きの右腕にとって、2025年が完全復活の一年となる可能性は十分だ。

中村晃選手(福岡ソフトバンク)

中村晃選手 年度別成績 ©PLM
中村晃選手 年度別成績 ©PLM

 中村晃選手は2014年の最多安打に輝いた高度な打撃技術と、通算出塁率.362、通算IsoD.085を記録する卓越した選球眼を武器に、長きにわたって主力打者として活躍。2020年から4年連続で一塁手部門のゴールデングラブ賞を獲得した守備力も備え、攻守にわたってチームの黄金時代を支えてきた。

 2024年は打率.221、OPS.540と不振に陥ったが、今季は打率.290、出塁率.392、OPS.751と復活を遂げ、5月中旬以降は4番を務めて打線をけん引している。節目の通算1500安打まであと35本に迫っているだけに、今後も主軸として快調に安打を積み上げ続けてほしいところだ。

培ってきた豊富な経験を生かし、今後も捲土重来の活躍を続けられるか

 藤岡選手や中村晃選手のようにレギュラーとして活躍している選手もいれば、鈴木大地選手や中村剛也選手のように、与えられた出場機会で確かな存在感を示す選手も存在する。また、昨季は故障や不振に苦しめられたものの、今季に入ってから復調を果たして再びチームを支えている選手が多く見受けられる点も特徴的だ。

 今回取り上げた選手たちはこれまで培ってきた豊富な経験を生かし、今後のシーズンにおいても貴重な働きを見せ続けることができるか。長きにわたってさまざまな役割でチームを支えてきたベテランたちの奮闘に、いま一度注目してみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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