
◆パ・リーグ ソフトバンク0―6西武(4日・みずほペイペイドーム)
西武の西口文也新監督(52)が開幕5戦目で待望の初勝利を挙げた。昨季12球団最低のチーム打率2割1分2厘と低迷した打線が4回に有原から一挙6得点。開幕から5番に抜てきしているドラフト2位・渡部聖が初の3安打含む全5打席出塁、6番で初スタメン起用した野村大が決勝2点二塁打と采配が的中。シーズン91敗を喫した昨季、42ゲーム差をつけられたソフトバンクとの今季初戦を制し、新たな一歩を踏み出した。敗れたソフトバンクは12年ぶりの単独最下位となった。
初勝利の瞬間を見届け、西口監督は柔和な笑みを浮かべて握手を繰り返した。球団46年ぶりの開幕4連敗から、5戦目で待望の初勝利。「ほっと一安心っていうのが率直な感想」。ウィニングボールを今井から受け取ると、そっとポケットにしまい込み、グラウンドに一礼した。
思惑がピタリとはまった。両軍無得点の4回無死一、二塁で5番・渡部聖が四球で満塁。「6番・二塁」で今季初スタメンに抜てきした野村大が有原のカットボールを捉えた。「本当に死にものぐるい。とりあえず前に飛ばすって考えて」と右翼線への先制&決勝の2点二塁打。指揮官が「(7番の)外崎より打ちそうだから。期待して」と明かした直感が的中し、両手でヒーローを指さした。
この回打者11人の猛攻で一挙6点。開幕から「5番・左翼」で起用し続けているドラフト2位・渡部聖は全5打席出塁でプロ初の猛打賞。打率はついに5割に乗った。昨季リーグワーストのチーム打率2割1分2厘と低迷した打線が、西口監督が抜てきした5&6番の活躍でつながった。
現役時代は通算182勝。県和歌山商1年時に外野手から投手に転向したが、高校、立正大の同級生・西川新治さん(52)が「究極のマイペース」と表現する性格ゆえ、エースナンバーにはなかなか届かなかった。背番号「1」をもらったのは高3夏。県大会初戦で敗れた日も、悔しさは口にせず淡々と映像を見返すような青年だった。
だからこそ、何げないひと言が周囲を驚かせた。2015年、現役引退後の立正大OBによる慰労会。ふとした瞬間に誰かが聞いた。「もし、今後1軍監督のオファーがあったらどうするの?」
「やるよ」
即答だった。地位や肩書には執着しないはずの男が、ほんの少しのぞかせた“野心”だった。「勝つか負けるか。そういうところでやってみたい」。2軍監督を務めていた昨秋、1軍監督の就任要請を迷わず受諾した。
「気持ち的には楽になるけど、いつも言ってるようにやる以上は勝ちに行く」。ひょうひょうとした勝負師が、常勝西武再建へ第一歩を踏み出した。(大中 彩未)