東北楽天一筋14年。どんな時も前に進み続けた岡島豪郎の活躍を振り返る

パ・リーグ インサイト 後藤万結子

2025.10.3(金) 11:00

東北楽天ゴールデンイーグルス・岡島豪郎選手【写真:球団提供】
東北楽天ゴールデンイーグルス・岡島豪郎選手【写真:球団提供】

 9月21日、東北楽天・岡島豪郎選手が今季限りでの現役引退を発表した。球団創設初の日本一に輝いた2013年には、2年目ながらリードオフマンとして打線をけん引すると、以降も長年主力選手として躍動し、2024年には球団生え抜き選手としては5人目となる通算1000試合出場を達成した岡島選手。ガッツあふれるプレーだけでなく、持ち前の明るさでもチームメイトから慕われた。その一方で、度重なる故障にも悩まされた。今回は、そんな岡島選手の14年間を映像とともに振り返る。

捕手として入団も、直訴で外野手転向 リードオフマンに定着

岡島豪郎選手 年度別成績 ©PLM
岡島豪郎選手 年度別成績 ©PLM

 2011年ドラフト4位で白鷗大学から東北楽天に入団した岡島選手。捕手入団だったものの、2年目を迎えた2013シーズン途中に出場機会を求めて、当時監督を務めていた星野仙一氏に直訴し、外野手に転向した。以降は、主に「1番・右翼手」としてスタメンに名を連ね、打線をけん引。同年、規定打席には届かなかったものの、79試合で打率.323と好成績を残し、球団創設初となるリーグ優勝、そして日本一に大きく貢献した。

 翌2014年には、キャリアハイとなる142試合に出場。2015年こそ出場機会を減らしたものの、2016年以降3シーズンはいずれも100試合以上に出続けた。2019年には、捕手再転向を決意し、背番号は2シーズンにわたって付けた「4」から再び「27」に。しかし、2017年に亜脱臼した左肩の状態が思わしくなく、2月に手術を受けると、同年4月には右ひじの手術も受け、プロ入り後初めて一軍公式戦に出場せず、シーズンを終えた。

 2020年には、オープン戦で右手親指を骨折した影響もあり、35試合の出場にとどまったが、再び外野手登録で迎えた2021年は安定した成績を残して復活のシーズンに。2023年の出場試合は再び100を越え、2024年にはNPB通算529人目となる通算1000試合に出場も、今季は一軍出場機会を得ることができず、ユニフォームを脱ぐ決断をした。

 ここからは、岡島選手の数々の名場面のなかから、4つの映像をピックアップして振り返っていきたい。

見事な “打ち直し” ホームラン(2016年7月9日)

 ホームランバッターではないものの、岡島選手のこの一発は、多くのファンの記憶に残っているだろう。2016年7月9日福岡ソフトバンク戦の8回表、カウント1-0から、東浜巨投手の変化球をはじき返すと、打球はぐんぐん伸びてライトのポール際に着弾。本塁打の判定となり、岡島選手はダイヤモンドを1周も、打球はリプレー検証の結果、ポールの右側を通ったとしてファールに。それでも、岡島選手は再度打席に入ると、4球目を完璧に捉え、今度は確実にライトスタンドへ運んだ。

5月の月間打率は驚異の.398! 怪我や手術を乗り越えた、復活の2021シーズン

 度重なる怪我や手術を経て、再び外野手登録で臨んだ2021シーズン。4月半ばから調子を上げ始めると、「日本生命セ・パ交流戦」では、チームトップの打率.375を記録するなど、5月は月間打率.398と圧倒的な成績をマーク。続く6月にも月間打率.330を残し、バットで存在感を発揮した。

 同年、夏場に一時調子を落としたものの、9月は再び3割近い月間打率を残すなど、シーズン終盤に復調。10月13日の福岡ソフトバンク戦では、同点で迎えた9回裏、1死満塁で打席に入ると、森唯斗投手の初球を鮮やかにはじき返し、チームを2021シーズン初のサヨナラ勝利に導いた。苦難を乗り越えた復活の2021シーズンは、ファンにとっても印象深いものだろう。

強肩で魅せた! 傾いた流れを断ち切る鋭いレーザービーム(2022年7月18日)

 強肩を生かした好守も数多く生まれた。2022年7月18日オリックス戦、打線が5回裏に逆転し、1点リードで迎えた6回表。1死2塁で、福田周平選手が放った打球は、岡島選手が守るライト方向へ上がる。フライを確実に捕球すると、飛び出していた2塁走者を見逃さず、すばやい返球でタッチアウトとした。相手に傾きかけた流れを断ち切る見事なプレーで、勝利を手繰り寄せた。

どんな時も前に進み続けた14年間。東北楽天一筋の野球人生に幕

 現役引退を発表した9月21日、イースタン・リーグ公式戦のホーム最終戦が行われた楽天イーグルス利府球場に岡島選手の姿があった。

 同日は「1番・右翼手」で先発出場し、大勢のファンが見守るなか、第1打席で安打をマーク。チームはその後、入団当初から切磋琢磨しながらともに戦ってきた同期・島内宏明選手の一打でサヨナラ勝利。試合後には胴上げが行われ、岡島選手の目には涙があふれた。なお、10月4日には、楽天モバイルパーク宮城で行われる埼玉西武戦終了後、岡島選手の引退セレモニーが実施される予定だ。

 度重なる怪我に苦しみながらも、前に進み続けた14年間。東北楽天一筋で戦い続け、チームメイトやファンから愛されたベテランが惜しまれながらもバットを置く。

文・後藤万結子

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