
◆2025 パーソル クライマックスシリーズ パ最終ステージ 第1戦 ソフトバンク2x―1日本ハム=延長10回=(15日・みずほペイペイドーム)
高くはねた打球は三塁手の頭上を越え、左前へ。同時に山川が思い切り右手を突き上げた。延長10回1死満塁。初球を振り抜き、サヨナラ勝ちを決めた。併殺打と紙一重の殊勲打。両手を胸に当て「危ねえ」とつぶやいたヒーローは、あっという間にナインに包まれた。「マジでサードゴロだと思った。やばい、終わったと思った」と苦笑い。もぎとった勝利を「大きいと思います」とかみしめた。
7番で出場。「何一つうまくいかなかった」という今季は、昨季は全試合で守った4番の座を失い、終盤はスタメンも外れた。この日も小久保監督は「山川の4番は(コーチも)誰も言わなかった。異論はなかった」。それでも4番・中村の犠打もあって生まれた土壇場の好機で、本来の主砲が主役を奪った。
シーズン最終盤に思い切った“大手術”を施した。「右脚一本で立っている感覚」と、極端に重心を捕手寄りに下げた構えに変えた。王球団会長の「もっと前で打とう」という助言もあり「ボールとの距離を取って前で打つために逆の発想。頭では分かっても、なかなか踏み切れなかった」という打法に挑戦した。9月30日の日本ハム戦(みずほペイペイ)の本塁打に久しぶりの好感触。宮崎フェニックスリーグの出場も志願して養った感覚で存在感を示した。
「形なんか何でもいい。勝てば」と小久保監督。04年以降の日本シリーズ進出をかけたプレーオフ、CSでアドバンテージを含めて2勝0敗とした例は過去26度あり、25チームが突破している。パ・リーグでは全15チーム、突破率は100%だ。「日ハムさん、めちゃくちゃ強い。めちゃくちゃ嫌。あしたも明後日も勝って、すぐ終わらせたい」と本音もこぼしたヒーローは「シーズンだと、あのヒットで満足はないけど。勝ったので。明日からも乗っていけるかな」。昨年のCSもMVPに輝いた男の目が光った。(安藤 理)
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