2018年のオープン戦も残りわずかとなったが、現在打率部門においては、楽天の内田選手が打率.441でぶっちぎりの1位に立っている。
まだ若い彼がシーズンでもブレイクするのでは…と否応なしに期待が高まるが、毎年生まれるオープン戦の首位打者をさかのぼってみると、バラエティに富んだ面々が並んでいる。
そこで今回は、過去10年のオープン戦においてパ・リーグ内で首位打者に輝いた選手を紹介し、実際のシーズンでの成績と比較しながら考察を深めていきたい。
オープン戦首位打者とシーズン成績
【2008年】
・稲葉篤紀氏(北海道日本ハム)
オープン戦:11試合14安打2本塁打8打点 打率.400
シーズン:127試合135安打20本塁打82打点 打率.301
【2009年】
・栗山巧選手(埼玉西武)
オープン戦:16試合22安打1本塁打3打点 打率.400
シーズン:140試合152安打12本塁打57打点 打率.267
【2010年】
・G.G.佐藤氏(埼玉西武)
オープン戦:11試合13安打3本塁打9打点 打率.433
シーズン成績:53試合33安打6本塁打19打点 打率.204
【2011年】
・浅村栄斗選手(埼玉西武)
オープン戦:9試合15安打2本塁打7打点 打率.441
シーズン:137試合117安打9本塁打45打点 打率.268
【2012年】
根元俊一選手(千葉ロッテ)
オープン戦:16試合23安打0本塁打9打点 打率.390
シーズン:133試合143安打9本塁打41打点 打率.279
【2013年】
ヘルマン選手(埼玉西武)
オープン戦:16試合16安打0本塁打8打点 打率.348
シーズン:144試合165安打4本塁打55打点 打率.319
【2014年】
井上晴哉選手(千葉ロッテ)
オープン戦:15試合20安打2本塁打7打点 打率.435
シーズン:36試合20安打2本塁打7打点 打率.211
【2015年】
秋山翔吾選手(埼玉西武)
オープン戦:11試合17安打0本塁打8打点 打率.459
シーズン:143試合216安打14本塁打55打点 打率.359
【2016年】
鈴木大地選手(千葉ロッテ)
オープン戦:16試合18安打1本塁打9打点 打率.400
シーズン:143試合143安打6本塁打61打点 打率.285
坂田遼選手(埼玉西武)
オープン戦:15試合16安打1本塁打9打点 打率.400
シーズン:45試合37安打3本塁打26打点 打率.245
【2017年】
・中村晃選手(福岡ソフトバンク)
オープン戦:18試合20安打0本塁4打点 打率.370
シーズン:143試合138安打6本塁打42打点 打率.270
オープン戦首位打者の年が転機となった選手も
2015年の秋山選手の活躍はまだ記憶に新しいだろう。シーズン最多安打の日本記録を更新する216安打を放って球史に名を刻み、福岡ソフトバンクの柳田選手とハイレベルな首位打者争いを繰り広げた。
オープン戦からシーズン閉幕まで絶好調のまま駆け抜けた2015年は、球界を代表する5ツールプレイヤー・秋山選手を語る上で欠かすことはできないシーズンだ。
また、オープン戦での好成績をきっかけに飛躍を果たした選手もいる。2011年の浅村選手はこの年一軍に定着し、2年後に打点王を獲得。チームの「顔」を張る選手に成長する上で、大きな意味を持つ1年となった。
翌2012年の根元選手も、オープン戦での好調によって開幕スタメンの座を勝ち取ると、1年を通してレギュラーに定着。リーグ最多タイの40犠打を記録し、過去数年の不振から脱却して再び主力としての活躍を見せたシーズンとなった。
シーズンの指標にはならないオープン戦。それでも…
すでに一軍で実績を残している選手が、オープン戦での好調そのまま好成績を残したケースも多い。2008年の稲葉氏は北京五輪に出場する日本代表にも選出され、3年連続となる打率3割を達成。36歳という年齢を感じさせない打棒を見せ付けた。
2013年のヘルマン選手は、シーズンでも打率のほか選球眼が冴え渡り、出塁率.418で最高出塁率を獲得。前年に続いて40盗塁を記録するなどリードオフマンとして素晴らしい成績を収め、年間を通じて抜群の存在感を見せた。
一方で、2010年のG.G.佐藤氏や2014年の井上選手のように、シーズンに入ると一転して不振に陥るケースもあった。
しかしながら、オープン戦でつかんだ感触や自信をきっかけに、大きな飛躍を果たす選手は多い。来たる新シーズンにも、オープン戦の好調をシーズンにも持ち込んで、大ブレイクを果たす選手は現れるだろうか。
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