埼玉西武・森の捕手4人目の快挙なるか? 猛追のオリックス吉田正か? どうなるパ・リーグの首位打者争い

Full-Count 広尾晃

2019.8.28(水) 13:58

埼玉西武ライオンズ・森友哉選手(左)、オリックス・バファローズ 吉田正尚選手※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
埼玉西武ライオンズ・森友哉選手(左)、オリックス・バファローズ 吉田正尚選手※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

2年前の首位打者・秋山は多い打席数がネックに、伏兵はSBグラシアル

 いよいよ今季の各部門タイトル争いも佳境に入ってきた。この時点でのパ・リーグの首位打者争いを見ていこう。

【パ・リーグ】 8月27日時点での打率5傑

1森友哉 (西)398打数132安打 打率.332(.363)
2吉田正尚(オ)426打数139安打 打率.326(.417)
3秋山翔吾(西)488打数152安打 打率.311(.343)
4銀次  (楽)440打数136安打 打率.309(.367)
5荻野貴司(ロ)448打数138安打 打率.308(.301)

()は、8月の月間打率

 森が1位をキープ。2位に吉田正がつけている。月間打率はともに高いが、吉田正は4割超えで、森を猛追している。

 例年、8月は投手陣の調子が落ちる。今年も8月のリーグ防御率は4.14にはね上がっている。打者にとって8月は「稼ぎ時」だ。残り20数試合、打席数にして100前後もある。吉田正が森を追い詰めることは十分に可能だ。

 森も好調を維持している。ただ捕手という重労働。その負担が、どう影響してくるか。森は24歳、吉田正は26歳と、ともに若い。今後の競り合いが見ものだ。

 首位打者争いの常連である秋山が3位につけている。2017年の首位打者で、2位も2度ある。打率では同僚の森と2分近くあるが、十分に射程圏内ではある。ただ、秋山の場合「多すぎる打数」が、足かせになる可能性がある。

 秋山は過去4年連続でリーグの「最多打席」「最多打数」。上位を打つことが多く、打席がよく回ってくる。安打数争いでは有利で、今季も既に152安打で2位の茂木(楽天)に9本差をつけてトップをひた走る。打数が多いと1安打当たりの打率の変動幅が小さくなる。追い上げる立場としては不利だ。

 銀次もアベレージヒッターで、四球が少なく打数が多い。首位打者争いではやや不利だ。

 荻野は7月までは首位打者争いに絡んでいたが、今月は打率を下げている。10年目で初めての規定打席到達で、ペース配分が難しかった可能性もある。

「伏兵」は福岡ソフトバンク・グラシアル、規定打席到達で“逆転首位打者”の可能性

 そしてもう一人、「伏兵」がいる。福岡ソフトバンクのグラシアルだ。

グラシアル(ソ)292打数93安打 打率.318(.269)

 グラシアルの打席数は320。今季はキューバの国際大会出場のため一時期戦線離脱した。その影響で規定打席には現時点で「49」足りない。しかし、福岡ソフトバンクの残り24試合にフル出場した場合、最終的な規定打席432に到達する可能性がある。現在の打率は.318だが、打数が少ないだけに、森、吉田らに追いつく可能性も十分にある。8月は調子が上がらず、ここまで月間打率.269だが、外国人選手は爆発力があるから、可能性はあるだろう。

昨年と一昨年の8月末時点での打率5傑

○2018年
1柳田悠岐(ソ)391打数138安打 打率.353
2秋山翔吾(西)480打数156安打 打率.325
3近藤健介(日)367打数118安打 打率.322
4浅村栄斗(西)470打数148安打 打率.315
5吉田正尚(オ)425打数129安打 打率.304

○2017年
1秋山翔吾(西)465打数156安打 打率.335
2柳田悠岐(ソ)396打数125安打 打率.316
3浅村栄斗(西)475打数146安打 打率.307
4ペゲーロ(楽)377打数114安打 打率.303
5西川遥輝(日)444打数133安打 打率.300

 いずれの年も、この時点での首位打者が最終的にタイトルを取っている。近年、首位打者争いは福岡ソフトバンクの柳田と秋山を軸に回っていたが、今季は柳田が故障のため長期離脱。首位打者戦線に異変が起こったといえよう。

 森が、捕手としては2012年の巨人阿部慎之助以来史上4人目の首位打者を獲得するか。吉田正が、オリックスの選手としては2014年の糸井嘉男以来の首位打者になるか。
あるいは、ここから秋山ら実力者や伏兵グラシアルが急追してくるか、注目される。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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