福岡ソフトバンクは得失点差以上の勝率、工藤監督の手腕光る
MLBではピタゴラス勝率という指標が、チーム評価でしばしば用いられる。チームの得失点に応じて勝利数を配分する指標で、これによって各チームがどれだけ有効に得点しているかが見えてくる。
「ピタゴラス勝率」という名は数式「(得点の2乗)÷((得点の2乗)+(失点の2乗))」が、「ピタゴラスの定理」に似ていることからつけられた。
ピタゴラス勝率で、8月10日時点のパ・リーグの状況を見ていく。
各球団の得失点
福岡ソフトバンク 443得点409失点/差34
北海道日本ハム 440得点432失点/差8
埼玉西武 532得点515失点/差17
楽天 453得点438失点/差15
千葉ロッテ 475得点455失点/差20
オリックス 384得点451失点/差-67
パは交流戦で勝ち越しているので、トータルの得失点差もプラスになっている。得失点差で見れば、福岡ソフトバンクに次いで現在5位の千葉ロッテが大きな「黒字」になっていることがわかる。埼玉西武はリーグでも断トツの得点を挙げているが、失点も断トツで、「打高投低」が一目瞭然だ。オリックスが「赤字」を1球団で引き受けている。
北海道日本ハムは得失点差は+8も1点差勝敗は12勝8敗
実際のパ・リーグ順位
1 福岡ソフトバンク 106試57勝45敗4分 率.559 差–
2 北海道日本ハム 105試52勝49敗4分 率.515 差4.5
3 埼玉西武 103試52勝50敗1分 率.510 差5.0
4 楽天 104試51勝50敗3分 率.505 差5.5
5 千葉ロッテ 104試50勝51敗3分 率.495 差6.5
6 オリックス 104試47勝52敗5分 率.475 差8.5
福岡ソフトバンクが首位で、4位までが勝率5割以上だが、千葉ロッテ、オリックスも3位を狙える位置にいる。
ピタゴラス勝率に換算するとこうなる。勝敗の小数点以下は四捨五入。
1 福岡ソフトバンク 105試55勝47敗3分 率.540 差–
2 千葉ロッテ 104試53勝48敗3分 率.521 差1.5
3 楽天 103試53勝49敗1分 率.517 差2.0
4 埼玉西武 105試52勝49敗4分 率.516 差2.5
5 北海道日本ハム 105試51勝50敗4分 率.509 差3.5
6 オリックス 104試42勝57敗5分 率.420 差11.5
首位福岡ソフトバンクは、実際の勝率よりもピタゴラス勝率のほうが低い。これは得失点差よりも勝っているということになる。続くのは、実際では5位の千葉ロッテ。そして楽天、埼玉西武が続く。
得失点差が+20で2位の千葉ロッテは、1点差勝敗が12勝15敗。競り合いに弱い。対照的に北海道日本ハムは得失点差は+8だが、1点差勝敗は12勝8敗。この差が順位に表れているといえる。
野球は運の要素も大きい。大量得点差で勝利したときには誰もが「この得点を他の試合に回したい」と思うだろうが、いかんともしがたい。一方で、競り合いに強いチームを作ることは決して不可能ではない。
ピタゴラス勝率を上回る勝率をマークしているチームは監督の采配が活きているといえるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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