14日の巨人戦、2回1死1,3塁でヒットエンドラン
2年連続の日本一を狙う福岡ソフトバンクが、奇策に打って出た。14日、本拠地ヤフオクドームで行われた巨人とのオープン戦。工藤公康監督が珍しい作戦を実行した。
1対2の1点ビハインドで迎えた2回の攻撃だった。先頭の中村晃選手が左前安打で出塁、1死から上林誠知選手が右前安打で続き、1死1,3塁のチャンスが出来上がった。打席には8番の甲斐拓也選手。最低でも1点を挙げ、同点にしたい好機だ。スクイズ、そして指揮官が好んで使ってきたセーフティースクイズが策として考えられるところ。だが、この場面で、シーズンでの戦いを見据えた指揮官は意外なサインを送った。
2ボール2ストライクからの5球目。巨人先発の山口俊投手が投じたフォークは引っかかり気味になり、外角低めにワンバウンドするかというような、見逃せば明らかなボール球だった。これに打者の甲斐選手が食らいつき、バットを投げ出して必死に当てた。打球は二塁へ転がるボテボテのゴロ。走者はそれぞれスタートを切っており、中村晃選手が同点のホームを踏んだ。
ランナーを三塁に置いた状態でのヒットエンドラン。少年野球だったり、草野球などでは使われるものの、なかなかプロの世界では見られない作戦だ。
工藤監督は試合後、この策について「なかなかオープン戦じゃないと試せないこともあるからね。バリエーションが広がる。下位打線にいった時に、外野フライはなかなかね。打者を信頼していないわけじゃない。そういう時に(サインを)信頼して出している。1点欲しいところで、ああいうのもあるんだ、というのを見せたくてやりました」と語った。得点を挙げる形の1つとして、選択肢に加える考えが見えた。
ヒットエンドランは空振りするリスクがある。ストレートも変化球も一流の切れ味を誇るプロの投手が相手だと、そのリスクはより高まる。走者が三塁にいる場面で、もし空振りすれば一気にチャンスが潰れてしまうだけに、なかなか使われないものだ。それでも作戦の1つとして手に加えることで、攻撃の選択肢を広げる。それが相手への揺さぶりにつながるというのが、工藤監督の考え方だ。走者を三塁に置いてのヒットエンドラン。奇策はシーズン中でも実行される時があるだろうか。
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