1イニング目は3者凡退も、2イニング目に突如乱調に…
課題が突きつけられた。開幕1軍入りを目指し、アピールしてきた福岡ソフトバンクの2016年のドラフト1位・田中正義投手。14日、ヤフオクドームで行われた巨人とのオープン戦で、オープン戦初の失点を喫した。
ここまでオープン戦3試合に投げて無失点投球を続けてきた田中投手だったが、この日はこれまでのようにはいかなかった。7回から3番手としてマウンドへ上がると、1イニング目はほぼ完璧な投球。阿部慎之助選手を146キロの左飛に打ち取り、岡本和真選手を同じく146キロの真っ直ぐで空振り三振に。小林誠司選手も右飛に切って3者凡退に仕留めた。
暗転したのは2イニング目の8回だった。先頭の立岡宗一郎選手のセーフティーバントは、自身の送球が危うく悪送球になりかけたが、何とかアウトに。だが、続く陽岱鋼選手に中前安打を許すと、2死から田中俊太選手に四球。2死1,2塁から中井大介選手には中堅フェンス直撃の2点適時二塁打を許した。
2回を投げて2安打1四球2失点。オープン戦登板4試合目6イニング目、紅白戦から数えて実戦登板6試合目、9イニング目で喫した初の失点に、試合後、田中正義投手は「悪かったところは分かっているので、しっかり練習して次全力でやるしかないですね」と語った。
1イニング目は140キロ台中盤から後半の真っ直ぐで押していたが、2イニング目に走者を出してから、突如としておかしくなった。制球が乱れ出し、腕の振りも鈍くなった。マウンド上での立ち姿はどこか自信なさげに映った。
さらに、工藤公康監督はこうも指摘した。「見ていると、追い込むといいボールがいくけど、追い込むまでは、というのがある」。カウントを整えるまでのボールと、2ストライクや1ボール2ストライクといった投手有利のカウントで投げるボールの質に違いがあるというのだ。
どんな場面でもしっかり腕を振れるか、そして自信を持って投げられるか。それが走者を背負った状況でも変わらずにできるか。田中投手が開幕1軍を掴む上では、避けては通れない課題だろう。「こういうのをキッカケにして、そこにいくまでもしっかり投げないといけないというのを学んでくれたら。また投げる機会はある」と工藤監督は言う。
この日の投球を見ていても、しっかりと腕が振れた真っ直ぐはそう簡単に捉えられる代物ではない。そのボールをいかなる状況でもしっかり投げられるか。それができれば、開幕1軍入りは十分に可能性はある。その一方で、課題が克服できなければ、1軍での起用は難しくなるのではないだろうか。
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