独立L出身初の1000安打 千葉ロッテ角中はNPBへの道を切り拓いたパイオニア

Full-Count 広尾晃

2019.5.14(火) 15:21

千葉ロッテ・角中勝也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・角中勝也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

1000安打は史上297人目も独立リーグ出身者は初

 千葉ロッテの角中勝也外野手が1000本安打を達成した。史上297人目だが、独立リーグ出身者としては初めての大台突破だ。

 日本の独立リーグは、2005年に四国アイランドリーグ(現四国アイランドリーグPlus)の創設で始まった。1年目から早くも中谷翼(愛媛・広島育成2巡目)、西山道隆(愛媛・福岡ソフトバンク育成2巡目)の2人がNPBに入団。角中は日本航空二高から、創設2年目の高知に入団。俊足好打の外野手としてスタメンで起用された。成績は85試合253打数64安打4本塁打28打点、打率.253(19位)だったが、交流戦などの活躍が千葉ロッテスカウトの目に止まり、2006年ドラフト7巡目で入団した。

 1年目の2007年からイースタン・リーグで活躍。7月24日には1軍に昇格、26日の福岡ソフトバンク戦でプロ初安打を放つ。独立リーグ出身の野手としては1年前に中谷翼が広島に入団し、この年5月8日に1軍出場を果たしているが、安打は打っていなかった。角中は記念すべき独立リーグ出身者初安打を記録。奇遇なことに相手投手は、これも前年、四国アイランドリーグの愛媛から福岡ソフトバンクに入った西山道隆だった。

 角中が入った当時の千葉ロッテには、早川大輔、サブロー、ベニー、大松尚逸らの外野手がいた。角中は2011年までは控えでの起用が続いたが、2012年、東京ヤクルトから移籍したホワイトセルが2軍落ちしたことでスタメンのチャンスを得て、安打を量産。交流戦では首位打者を獲得。オールスター戦にも出場し、ついには首位打者に輝いた。独立リーグ出身のオールスター戦出場、打撃タイトルは史上初。この活躍で、千葉ロッテの主軸打者にのし上がった。

 角中は2016年にも首位打者を獲得。さらに最多安打にも輝いた。本塁打は少ないが、選球眼がよく好機に強いしぶとい中軸打者として活躍している。

 独立リーグからドラフト、育成ドラフトでNPBに移籍した選手の安打数5傑 ※は現役

角中勝也 1000(2006年7巡目 高知→千葉ロッテ)※
内村賢介 340(2007年育1位 石川→楽天、横浜DeNA)
亀澤恭平 243(2011年育2位 香川→福岡ソフトバンク、中日)※
三輪正義 62(2007年大社6位 香川→東京ヤクルト)※
深江真登 22(2010年5位 明石→オリックス)

 角中の成績が傑出していることがわかる。角中以外に、規定打席に達した選手も、シーズン100安打を打った選手もいない。もちろんタイトルホルダーも角中だけ。オールスター戦出場も2012、2015、2016年の角中と、2017年の中日・又吉克樹だけ。

 角中は、独立リーグから移籍してNPBで活躍する道を切り拓いたパイオニア。その道は依然として厳しいが、彼に続く選手がでてきてほしいものだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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