「2番・右翼」で開幕スタメンで好発進も12日のハム戦から当たりが止まる
■千葉ロッテ 5-2 福岡ソフトバンク(18日・ZOZOマリン)
18日の福岡ソフトバンク戦。投打がかみ合い快勝した千葉ロッテが今季初の3連勝。その勝利を大きく手繰り寄せたのは、悩める韋駄天スイッチヒッターが3回に放った右翼線2点タイムリーだった。
福岡ソフトバンク先発・武田の乱調から2点を勝ち越し、なおも2死満塁。ここで、前日17日はスタメンを外れ、この日は8番での出場となった加藤が打席へ向かった。
「バルガスか僕なら、今の僕の状態なら僕で勝負だと思っていました。今日は常にそういう意識でいました」と、常に勝負されるという意識でいた加藤。結果、初球インコースのカーブを見事にとらえて右翼前へ。走者2人が還る大きな追加点を挙げた。
「2番・右翼」で開幕スタメンを勝ち取り、今季第1打席ではいきなり右翼本塁打を放つなど、開幕から11試合で45打数16安打4本塁打。打率.356と打撃絶好調のように見えたが、「打っていた試合でも、自分の中では『おかしいな』と思いながら打っていた試合の方が多かった」という。そして12日の北海道日本ハム戦からはパタリと当たりが止まった。
開幕前は「どんな打順でも、初球からどんどん降っていくスタイルは変えずにやっていきたい」と語っていたが、2番という打順で、結果を残し続けてきた中で「攻められ方自体も変わっているので、打席の中でも考え方も変わってしまった部分もある」と、負のスパイラルに陥った原因を自ら振り返る。
2番から下位打線で起用され大村コーチからは「シンプルな気持ちでやっていこう」
そこで首脳陣が下した決断が下位打線でのスタメン起用だった。試合前、大村コーチから「今日は2番の時のように考えるのではなく、下位打線なのでシンプルな気持ちでやっていこう」と言われ、気が楽になった部分があったという加藤。それが早速、19打席ぶりの安打、それも適時打という最高の形につながった。
普段はどんな時にも、試合前の準備や練習を継続して続けているという加藤だが、スタメンを外れた前日の17日、河野打撃コーチからの提案を受け、試合後に左投手のカーブを左打席で打って溜めを作る練習を行っていたという。
この日、捉えたボールもカーブ。投手の左右は違うが、打った打席は同じ左打席。「カーブを打つことの意味合いが違う練習だったので、その練習が(今日の結果に)直結するかというとそうではないです」と語ったが「ただ、壁と作るという意識は、その練習でもっと強く持たないとダメどと思いました」と、打席で壁を作る重要性を再認識していた。
適時打となった2打席目のカーブ打ちは、踏み出した左足で一拍、間をとって打ち返しているように見えたが「打ち方としては良くない打ち方だったので、もっと修正していかないときついんじゃないかと思っています」と語り「まだまだ全然だと思います」と、結果が出ても慢心することなかった。
「当分はバルガスの後ろで」と、今後も8番での起用を示唆した井口監督。下位打線で自分本来の姿を取り戻し、チーム躍進の原動力となりうるのか。試行錯誤の果てに這い上がってくる韋駄天スイッチヒッターの姿を期待したい。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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