開幕カードで9打点を挙げチームの勝利に貢献した4番・中田翔
北海道日本ハムの中田翔内野手は2019年シーズンを最高の形でスタートした。オリックスとの開幕3連戦(札幌ドーム)で9打点を挙げ、チームを2勝1分とカード勝ち越しに導いた。
3戦合わせて14打数3安打で打率.214。だが、その3安打がいずれもチームを救った。開幕戦の延長10回にサヨナラ満塁弾、2戦目には3回に同点2ランと9回に同点2点適時打で本拠地のファンを熱狂させた。無安打に終わった3戦目も初回の好機に内野ゴロで先制の打点をマークした。
この活躍を誰よりも喜んだのは栗山英樹監督だった。サヨナラ満塁本塁打を放った翌朝、報道陣から中田の話題を振られると、うれしそうに語った。
「今日もふと思ったけど、俺が監督になってから翔と一緒に歩いているからさ。本当に自分の家族みたいな感じ。翔が悪かったら、俺もすごい責任を感じて『ごめんなさい、みんな』みたいな。そんな感じの選手なんだ」
監督に就任した12年からチームを背負う4番として起用し続けてきた指揮官は、開幕前の中田についてこんなエピソードも明かした。
「(開幕戦ファン入場時の)ハイタッチ行く時に、すごく緊張しているの。そういう翔のかわいさっていうか。責任を感じて、緊張してドキドキしている翔がいて。(故障から復帰した3月9日阪神とのオープン戦の)甲子園でもね、『緊張してる』って言って、すごいバット振っているの。そういう赤ちゃんのような純粋さをあいつは持っていて、一緒にやっているとそういうものに触れるのよ。みんな、そういうものに惹かれるんだろうね。ファンの人たちも」と愛情たっぷりの言葉が次から次へと口をついた。
最高のスタートを切った中田に「こんなんでホッとしてもらっちゃ困るんだ」
「うまくいかないこともあるんだけど。翔ってスタート、下手じゃない。昨日みたいなスタートはちょっとホッとする…って、こんなんでホッとしてもらっちゃ困るんだ。普通だよ!」。最後はツンデレで締めくくって報道陣を笑わせたが、これまで以上の活躍を願う“親心”に溢れた話しぶりだった。
中田の栗山監督への信頼も揺るぎない。今季は目の前の試合を勝つためだけのオーダーを組むと明言している指揮官の意図を汲むように、開幕前に「(打順は)何番でもいい」と話していた。蓋を開けてみれば、この3連戦では4番に座った。サヨナラ満塁弾の後にあらためて打順について質問された中田はこう答えた。
「監督の思いというものは僕だけじゃなく、選手全員がしっかりと感じなければいけないことだと思います。無意味なことをする監督ではないですから。何かしら意図があって、選手のことを考えてやってくれているので。僕は本当に栗山さんが監督をやる以上、監督を信じてやるだけですし、僕だけじゃなく、みんな監督に信頼を置いていると思うので。そこに関して変わることはないですね」
監督と4番としてチームの勝敗を背負ってきた師弟コンビも8年目に突入。深い絆が3年ぶり日本一への原動力になる。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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