7月15日、ヤフオクドームで行われたマツダオールスターゲーム2016の第1戦。3点を追う9回裏無死1塁、途中出場となった埼玉西武・栗山巧選手が左バッターボックスに立つ。カウント1-1から広島・中崎翔太投手が投じた内角寄りの直球を振り抜くと、打球は大きな放物線を描きライトスタンドへ。栗山選手の一振りは2ランホームランとなり、パ・リーグが1点差に迫る。
その後の反撃も及ばずパ・リーグは惜しくも敗れたが、貴重な一打を放ち試合を盛り上げた。なお、栗山選手はオールスターゲーム初出場にして、いきなり敢闘選手賞を受賞した。
さらに翌16日、横浜スタジアムでの第2戦。栗山選手は第1打席で左中間への2ベースヒット、第2打席で内野安打と3打数2安打の活躍。2試合で4打数3安打1本塁打2打点とプロ15年目で初選出となったオールスターで、その存在感を見せ付けた。
栗山選手といえば埼玉西武のキャプテンを務め、その後ろ姿でチームを引っ張る存在だ。状況に応じてはバットを短く持ち、レフト方向を中心に鋭い打球を飛ばしていく。主に2番など上位打線を打つことが多く、秋山翔吾選手、浅村栄斗選手、中村剛也選手、エルネスト・メヒア選手などにつないでいく存在としてチームに必要不可欠な選手だ。
その栗山選手のつなぐ役割を再認識させるデータがある。映画化もされた書籍「マネー・ボール」で日本でも一気に浸透したアメリカ発祥のデータ指標「セイバーメトリクス」。そのセイバーメトリクスの数値の一つに「IsoD」というものがある。これは「IsoD=出塁率-打率」で表される数値であり、どれだけ四死球を選ぶ割合が高いかを示す。一般的にIsoDの数値が0.100を超えれば、球界トップクラスと言われている。簡単に言えば打率が低くても、出塁率が高ければIsoDは高い数値を出すのだ。
栗山選手の今季のIsoDを見てみると(数字は7月22日終了時点)、打率.301に出塁率.423のためIsoDは0.122。この数字はパ・リーグの規定打席到達の打者では柳田悠岐選手、中村晃選手(ともに福岡ソフトバンク)に次ぐリーグ3位だ。
さらに栗山選手の過去の成績を見ると、レギュラーに定着し最多安打を受賞した2008年のIsoDは0.059。それが10年に0.090と初めて0.09台に乗り、99四球を記録した13年には0.117と初めてIsoDが0.1を超えた。翌14年も0.106と高い数値を出し、しっかりと四球を選んで後ろへとつなぐ献身的な姿勢が見て取れる。
今や栗山選手なしではチームとして成立しないと言っても過言ではない埼玉西武。それくらいの貢献度を誇る栗山選手だが、チームを引っ張る姿勢だけでなく、数値上でもチームに大きく貢献しているということが判明した。キャプテンとして、そして選手として。チームに欠かせない栗山選手の活躍はこれからも必見だ。
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