東京ヤクルトとのOP戦で1軍初登板、最速153キロをマーク
■東京ヤクルト 4-0 千葉ロッテ(オープン戦・12日・ZOZOマリン)
千葉ロッテのドラフト2位ルーキー東妻勇輔投手が12日、東京ヤクルトとのオープン戦でプロ初登板を飾った。7回に4番手としてマウンドに上がると、2死満塁のピンチを招いたものの、最後は途中出場の西浦を二塁ゴロに打ち取り、1回を無失点に封じた。
荒々しいフォームから投じられた初球は150キロの真っ直ぐ。「最初は緊張したんですけど。マウンドが投げやすくて。ブルペンより調子が良かったです」と、本拠地のマウンドが水にあったのか、先頭の廣岡を150キロで捕邪飛に仕留めた。松本はこの日最速の153キロで詰まらせて一ゴロ。わずか4球で簡単に2死を奪った。
「ワインドアップの時にはある程度ストライクゾーンにも(ボールが)集まってくれたので、だいぶいい感じに、腕が振れていたと思います」。ただ、そのままあっさり三者凡退とはいかなかった。先制打を放った吉田とのルーキー対決。2ボール2ストライクからの6球目、インコースのスライダーで空振りを奪ったが、この回から代わった捕手・吉田が後逸。振り逃げで走者を背負った。
この日のセットポジション。「クイックは早いんですが、投げるボールは遅くなってしまうので、体重を乗せて投げるということを課題としてやっています」課題だったクイック。その初球が抜けて荒木の頭部付近へ。頭には当たらなかったが、死球で一、二塁。続く上田には右前安打。これで2死満塁となったが、慌てなかった。
「(心境は)何も変わらないです。むしろ(ランナーが)三塁まで行ってくれた方が足を上げて投げられるので、むしろそっちの方が投げやすいですし、ピンチとも思わなかったです」西浦を145キロのストレートで三ゴロ。本拠地デビュー戦を結果的には無失点で切り抜けた。
一見するとピンチに見える状況にも全く動じることのなかった東妻。そこにはリリーフをやる上での確固たる考え方があった。
リリーフとしての確固たる考え方「4つ塁を進まないと点は取られない」
「結局、4つの塁を進まないと点は取られない。僕はコントロールがそんなに良くないので、そこを頭に入れてやっています。コントロールを意識して縮こまって投げてしまったら、多分僕の良さは消えてしまう。そういった点で『ベースが4つもある』ので、しっかり腕を振って、しっかりゾーンに集めていくことができれば、もっとレベルアップできるかなと思っています。縮こまってコントロールを重視するようなピッチングはしたくないです」
「縮こまったピッチングはしたくない」という言葉通り、この日投じた18球は全てで腕を振って投げることができたという。「150キロも何球か出ていた。それが数字に表れていたので(腕を振って投げることが)できていたんだなと自覚できました」と、球速からその手応えを実感として感じ取っていた。
オープン戦とはいえ1軍初登板であり、初の本拠地マウンド。並のルーキーならば結果を気にして、自分を見失いかねない場面だが、自らの投球理念を貫いた。「ランナーを出しても結果抑えればいい」という考え方はかつて「幕張の防波堤」として、2005年に千葉ロッテを日本一に導いた守護神・小林雅英氏のものと酷似している。
「プレーしているところをあまり見たことがないので『小林雅英さんを見て』というわけではないです。大学の頃から…というより、小さい頃からそういう考え方でずっとやり続けてきて、それが今も継続してできているというところですかね」
実績十分の元守護神と考え方が同じだと知り「すごい人と考え方が一緒なので、上に上がっていけるかな」、笑った東妻。「またチャンスがもらえるならば、しっかり結果を出せるようにしたい。(同期入団の)小島がずっと1軍にいるので、それに追いつけるように頑張ります」。今日のデビュー戦を「半歩進めたかな」と、振り返ったドラ2右腕。「新幕張の防波堤」への第1歩を踏み出した。
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