一瞬のプレーが勝敗を分けた。福岡ソフトバンクが横浜DeNAに逆転勝ちで、日本シリーズ2連勝。最高の形で、31日からの敵地3連戦に臨むことになった。
7回2死満塁、5番・中村晃選手が鋭い右前打を放つ。三走の柳田選手がかえり同点。さらに今宮選手が二塁から激走し、本塁へ。ヘッドスライディングの右手と戸柱捕手のタッチはほぼ同時のタイミングとなり、判定はアウト。だがすかさず工藤監督が飛び出し、リプレー検証となった。そして、結果はセーフ。まさに地獄から天国。湧き上がるヤフオクドーム。終盤に勝ち越せば、あとは福岡ソフトバンク自慢の中継ぎ陣だ。最後はサファテ投手がきっちりと抑えて試合を決めた。「今宮君の素晴らしいヘッドスライディングがこの勝利を呼んだ」と、工藤監督も大絶賛だった。
大勝した初戦から一夜、この日は先制したものの、相手先発・今永投手に苦戦した。初回以降はゼロ行進。その間に、6回、梶谷選手、宮崎選手に本塁打が飛び出し試合をひっくり返された。
だが、やはり常勝軍団の集中力は途切れなかった。今永選手の後を受けた三上選手から、代打・明石選手が二塁打。1死3塁から、柳田選手が中前適時打を放つと、今宮選手の打球は二ゴロの併殺コースに見えたが、ここで遊撃の倉本選手が痛恨の捕球ミス。結局、その後の逆転劇が生まれた。
さらに8回の守備では、ロペス選手の打球を今宮選手が逆シングルで食らいつき、苦しい体勢から一塁へ送球。内野安打で当然の場面をアウトにし、小さくガッツポーズを作った。決勝のホームインと、ファインプレー。間違いなくこの日の影のヒーローだろう。
福岡ソフトバンク不動の遊撃手。広い守備範囲と、その強肩で何度も相手のチャンスをつぶしてきた。身長172センチと小柄だが、今季は自身最多の14本塁打とパンチ力も増大。さらに犠打数52はリーグダントツのトップと、そのユーティリティーさに磨きがかかったシーズンだった。
お立ち台に上がった中村晃選手も「逆転はどうかなあと思ったけど、(今宮)健太のスライディング、感謝しています」と褒めたたえた。
30日の移動日を挟み、31日から横浜で3試合を戦う。早ければ11月1日にも2年ぶりの日本一が決まる福岡ソフトバンク。工藤監督は「熱い応援が力になって、逆転につながりました。横浜にも、来てください!」と呼びかけた。
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