単打は基本中の基本のリザルト? パ・リーグの単打王は…
単打、シングルヒットは安打の中では最も多い。ごくありふれた結果ではあるが、「単打」は打者にとって基本中の基本というべきリザルトだと言えよう。
両リーグの単打が多い打者について調べてみた。単純な単打数ではなく、安打数に占める単打の割合だ。
2018年、80安打以上を記録した打者の、安打数に占める単打の割合。
○パ・リーグ、上位10傑
1中島卓也(日).853(単打87/安打102 打率.261)
2安達了一(オ).824(単打84/安打102 打率.219)
3銀次(楽).809(単打110/安打136 打率.276)
4藤岡裕大(ロ).797(単打98/安打123 打率.230)
5荻野貴司(ロ).780(単打71/安打91 打率.287)
6大城滉二(オ).770(単打67/安打87 打率.231)
7茂木栄五郎(楽).764(単打68/安打89 打率.247)
8源田壮亮(西).758(単打125/安打165 打率.278)
8田村龍弘(ロ).758(単打75/安打99 打率.239)
10今江年晶(楽).750(単打87/安打116 打率.276)
1位は北海道日本ハムの中島。ファウル打ちの名人として知られ、下位打線でしぶとく粘る打者だ。2位がオリックスの安達、3位が東北楽天の銀次。銀次は3割を打ったこともある好打者だが、本塁打が少なく、単打が多い。しかし中軸を打つことも多く、毎年50打点前後を挙げている。単打が多くても中軸打者は務まるということだ。
以下、いわゆる「つなぐ打者」の顔ぶれが並んでいる。パ・リーグの最多安打は埼玉西武・秋山の195安打だが単打は124本、最多単打は同僚・源田の125本だった。
○下位5傑
32柳田悠岐(ソ).581(単打97/安打167 打率.352)
33松田宣浩(ソ).563(単打72/安打128 打率.248)
34中村剛也(西).543(単打51/安打94 打率.265)
35デスパイネ(ソ).536(単打52/安打97 打率.238)
36山川穂高(西).526(単打80/安打152 打率.281)
安打数に占める単打の割合が低い5人。重量級のスラッガー、長距離打者がずらりと並ぶ。単打比率は、打者のタイプを分類するときに役立つ指標なのだ。ここに並ぶ選手は、単打ではなく長打を期待されている。パ・リーグの「単打王」は、北海道日本ハムの中島と言うことになるのではないか。
セ・リーグの「単打王」上位10傑も曲者揃い
セ・リーグも見ていこう。
○セ・リーグ、上位10傑 ※所属は2018年
1坂口智隆(ヤ).820(単打132/安打161 打率.317)
2京田陽太(中).809(単打110/安打136 打率.235)
3大島洋平(中).789(単打127/安打161 打率.274)
4雄平(ヤ).782(単打111/安打142 打率.318)
5糸原健斗(神).7763(単打118/安打152 打率.286)
6野間峻祥(広).7759(単打90/安打116 打率.286)
7平田良介(中).753(単打122/安打162 打率.329)
8田中広輔(広).740(単打111/安打150 打率.262)
9長野久義(巨).739(単打82/安打111 打率.290)
10ビシエド(中).702(単打125/安打178 打率.348)
こちらも曲者揃い。1位の坂口は近鉄戦士。オリックスを経て東京ヤクルトに移籍してから見事復活を果たしている。以下の顔ぶれでは東京ヤクルト、雄平が意外にも単打が多かった。2014年には23本塁打90打点を記録したが、その後は長打が減っている。しかし打率は3割。強打のイメージがあったが確実性のある打撃に変わってきたということか。セの最多単打は坂口の132本だ。
○下位5傑
33バレンティン(ヤ).565(単打78/安打138 打率.268)
34ソト(De).558(単打72/安打129 打率.310)
35丸佳浩(広).538(単打71/安打132 打率.306)
36鈴木誠也(広).526(単打71/安打135 打率.320)
37筒香嘉智(De).507(単打74/安打146 打率.295)
最も単打率が低いのは、横浜DeNAの主砲・筒香。確実に塁に出るのではなく、常に長打を狙っていたということか。それでいて打率.295は立派だ。セ・リーグの単打王は、東京ヤクルトの坂口智隆で決まり。
イチローのNPB時代の単打率は通算.725だったが、MLBに移籍して.814に上がった。様々な意見が出ることもあったが、大選手の階段を上ったと言えよう。
タイ・カッブは「50センチ先に転がしたヒットと、50メートル先に飛ばしたヒット。この両方が同じヒット1本として扱われることは、野球のルールの最も素晴らしい部分である」と言ったが、「単打王」は野球という複雑な競技の魅力の一端を表す指標だと思う。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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