“登板管理を解除”した今季ロッテのリリーフ陣は、救援防御率リーグ3位の3.24、セットアッパーの鈴木昭汰が最優秀中継ぎ投手、クローザーの横山陸人が最多セーブのタイトルを獲得した。
吉井理人前監督時代、リリーフ陣は基本的に3連投、1週間に4登板以上がなく登板管理を行ってきた。吉井前監督が指揮を執った23年からの3年間で3連投した投手は、23年はCSで澤村拓一がソフトバンクとのクライマックスシリーズファーストステージで3連投したのみで、同シーズンは3連投した投手はなし。翌24年は益田直也が1度、昨季は3連投した投手はいなかった。
1週間に4登板以上した投手は、23年は坂本光士郎が2度、益田と東條大樹が1度あったが、24年は1週間に4登板した投手はおらず、昨季は横山のみだった。勝ちパターンも決まった形を作らず、相手チームの打順や選手の状態を見て、複数の勝ちパターンで逃げ切る形が多かった。
サブロー監督が就任した今季、3連投は横山が3度、鈴木が1度、1週間に4登板以上は横山と鈴木が2度、澤田圭佑が1度、八木彬が1度だった。
登板管理が解除された今季、疲労や調整の難しさなどあったか訊くと、横山は「いっぱい試合で投げると疲れは溜まるんですけど、自分でケアできるところはやって今年はしっかりできていたので、特に問題はなかったかなと自分で思います」と話せば、鈴木は「まあ投げられた方が感覚的には良いですし、そこら辺は全然良かったかなと思います」と振り返った。
鈴木はシーズン最終盤の9月25日の西武戦から9月27日の日本ハム戦にかけて初の3連投を経験したが、「3連投は思ったよりいけましたね。反動はありましたけど、思ったより大丈夫でした」と涼しい顔。
横山も3連投となった10月4日の楽天戦で35セーブ目を挙げ、自身初のタイトルを確定させている。昨季までのリリーフ陣の運用であれば、3連投目の登板がなかった可能性もあった。
黒木知宏コーチはタイトルを獲得した横山と鈴木について「2人はゲームの中盤から後半にかけてヒリヒリした場面だったと思います。野球選手はタイトル、数字は気にするのは、するんです。頑張った結果として数字があるかもしれないですが、目の前にそういうものがあったり、周りの環境で狙う、狙わないが出てくるじゃないですか、選手はヒリヒリした状況の中で投げていかないといけないですが、そういった中で最後、リーグトップの成績を残したことは非常に評価できることだと思います」と評価した。
登板管理を解除した中で、横山と鈴木は勝ち試合であればマウンドに上がり続けた。黒木コーチは「最初はすごく運用をどうしていこうか考えていました。昨年までの起用法とは変わってくるよと連投したら次の日はないとかじゃなくて、負荷はかかると。しっかり負荷のかかった状態でも投げられる準備をしてほしい。そのトレーニングをちゃんとしてほしいと昨年の秋の時点で話をしていました。それをしっかり彼らは全うしてくれた。かといって、4連投、5連投してもらうことではないので、自分で連投したから今日は投げないだろうと決めつけないように。チームのためにいくらでも投げる気持ちを鈴木にしても横山にしても、他のピッチャーもそういう気持ちでいてくれたので助かりましたね」と労った。
黒木コーチから見て、横山と鈴木の準備について「彼らはしっかりやっていますね。朝早く来て走ったりしているのも見ているし、トレーニング、体のケアをしている。この状況になったらこういう状況なのかなと、何も言わずしても、トレーニング、準備、ランニング、ウエイトというのをやってくれていた。昨年までブルペンにいたので、ベンチにいてもそんなに心配しなかったです。ただ連投していく中で、パフォーマンスが落ちるんじゃないかなと注意しなければいけない部分が結構あったんですよね。それを覆すだけのパフォーマンスを出してくれたこともありました。どうしてもパターンとしてリードした状況、同点の時にしか投げなくなってくるピッチャーなので、連敗したり、ビハインドしたりすると投げる機会が少なくなってくる。特に7月、登板数が少なくなったのは、彼らに難しい状況だったと思います。それでもなんとか上手く乗り越えてくれたのがありましたし、8月末から9月にかけて登板も多くなった。そこをしっかりやってくれたのは彼らの能力だと思います」と話した。
◆ 益田の存在
中森俊介は鈴木の前を投げる勝ち試合の7回を中心に42試合に登板し、同点、ビハインドゲームを中心に澤田圭佑が42試合、小野郁が41試合に登板。10年代後半から20年代前半にかけてクローザーでチームを支えた益田は、勝ちパターンでの登板が少なかったが、ビハインドゲームでチームのために腕を振った。
黒木コーチは「1番頭が下がります。あれだけの選手なのに、そういった大量ビハインドの中でイニングを埋めなきゃいけないところで投げたりしたわけじゃないですか。普通はちゃぶ台ひっくり返したくなります。でもそれをグッと堪えながらもなんとか自分でそのポジションからもう少し上、さらに上、一番後ろで投げるというところを目標にやり続けたところに頭が下がる思いです」と感謝した。
◆ 八木はロングで抜群の働き
八木彬は46試合に登板し、イニングを上回る59回2/3を投げ、9勝1敗11ホールド、防御率2.11。試合序盤のロングリリーフ、先発の後を受けてイニング途中からマウンドに上がったりと様々なシチュエーションで腕を振った。
八木はブルペンでは「浅いイニングの5回とか6回だと思うので、準備をしています」と話し、急な登板があってもいいように、「ストレッチだったり、体幹系をお腹入れて、走ってくらいは5回まで常に準備している感じです」と舞台裏を説明。
マウンドに上がってからは、「あんまりランナーを溜めずに自分のピッチングをして、テンポ良くやっていくことを心がけています」と腕を振った。
ロングリリーフで好投した要因については「ファームで先発させてもらって、イニングの潰し方というか、投げ方というのを力では多分、先発のように4イニング、5イニングいけないと思うので、力を抜いてコントロール重視というか、今だとツーシームとかで打たせて取るの方が楽だと思う。そっちで投げているから、凡打が多くなり、球数少なくいけていると思います」と明かした。
◆ 多くのリリーフ陣が秋季練習免除
例年この時期、小野、澤田、八木、横山、鈴木といった20代、30代前半のリリーフ陣もZOZOマリンスタジアムの秋季練習に参加することが多かったが、横山は序盤参加していたものの、その他の選手は基本的に免除。
1年間投げたからなのか、それとも自分で考えてできるからZOZOマリンスタジアムの秋季練習に参加していないのだろうかーー。
黒木コーチは「両方ありますよね。しっかりやってくれたというところを僕は選手を大人扱いしたい。イチ選手として自分のやるべきことをやってきた証として、そういう扱いだったり、対応しなきゃいけないというのが僕の中にある。彼らには大人扱いをしたい。投げてきてケアもしっかりやってほしい。彼らが今度は責任を持って、秋に何をしなければいけない、オフはどうして来年に向かっていくかというところを野球選手としてやらなければいけないこと。そういった意味を込めて、シーズンが終わった瞬間からフリーにしている選手もいます」と説明した。
それは選手として一段階上がったと見ていいのだろうかーー。
「僕はそういう評価をしています。ただその変わりフリーになると責任が出てくる。責任をしっかりと来年こなせるかというのをすごくプレッシャーの中でやらなければいけない。そういった意味では彼らは大変な部分はあります」
今季タイトルを獲得した横山、鈴木をはじめ、リリーフ陣が今季の“反動”がなく、来季も今季のような活躍ができるかは気になるところ。来季のリリーフの運用に関して、黒木コーチは「今年成績を残した選手が来年の春にどれくらいの状況に上がっているかというのを見ないといけないと思いますね。当然配慮はします」と話した上で、「伸びてくる選手もいるでしょうし、新しい戦力もあるでしょう。もしかしたらいろんな配置が変わるかもしれない。これは監督含めて、ピッチングコーディネーター、ピッチングコーチ、みんなで考えて最善を尽くそうかなと思っています」と語った。
今季を踏まえて、2027年型のリリーフ陣がどう運用されるか注目だ。
取材・文=岩下雄太