ロッテ・上田希由翔はファームでここまで19試合に出場して、打率.362、2本塁打、9打点、OPS1.029と二軍で圧倒的な成績を残しながら、ここまで一、二軍を往復する。二軍では結果を残している。あとは一軍で結果を残すだけ。上田本人も「本当に出るまで耐えて、苦しみながらも頑張り続けていきたいと思いますね」と前を向く。
上田は開幕一軍を掴むも、一軍出場がなく、3月29日に一軍登録抹消。降格後に出場したファーム・リーグ4試合で「なかなかタイミングが取れていなかったので、色々タイミング方法を見つけながら、自分に合っていたものを探していた感じですかね」と、ノーステップで打ったり、足を上げて打ったりと、自分に合うタイミングを探しながらも、打率.636、2打点、3四球。
走っても4月5日のオイシックス戦で、「チームとしても去年の秋のキャンプからやっていたので、それを実戦で少しでも多くできていると思うので、一軍の試合でも出せていけたらなと思いますね」と1試合2盗塁をマークするなど、積極的に次の塁を狙った。
守っても本職のサードではなく、セカンドを守り、4月4日のオイシックス戦、5-2の8回二死走者なしで比嘉天佑が放ったセカンドへのゴロを逆シングルでキャッチし一塁へジャンピングスローでアウトにした。「そこまで考えずに1球1球、1つアウトを取れるようにということでやっています」
開幕直後ファームでセカンドを守っていた時には、「キャッチャーのサインが見えるというのもセカンドの良さだと思うので、そこは見ながら、自分なりに動いたりしています」と、ポジショニングがよく、抜けそうな当たりもアウトにしていた。
攻走守に成長した姿を見せ、4月10日一軍再昇格を果たす。今季初出場となった同日の西武戦、『3番・セカンド』でスタメン出場すると、第2打席に二塁打を放ち今季初安打をマーク。12日の西武戦では今季初のマルチ安打を達成した。出だしは良かったが、この安打を最後に安打がなく、4月23日に2度目の一軍登録抹消となった。
再び二軍で8試合に出場して、打率.313とバットでアピールして、5月8日に2度目の一軍昇格。同日のソフトバンク戦で早速2安打し、翌9日には「シンプルに考え、タイミングを合わせて打つことができました。いい結果になって良かったです」と今季初本塁打を含む2試合連続複数安打。
5月12日の日本ハム戦では、「あまり考えずにまっすぐのタイミングで行ってスライダーをああやって打てたってことは自分の状態も良いと思うのでこのまま継続してやっていけたらと思います。(ZOZOマリンでは)そういえば初ですね。やっとマリンで打てて良かったです」と、1-2の7回無死走者なしの第3打席、伊藤大海が1ストライクから投じた2球目のスライダーをライトスタンドに一時同点となる第2号ソロを放った。
今季に向けて、““OPS上げていきたい”と目標に掲げ、「昨年も苦手なボールを振って、四球を取れるなというのがたくさんありました。単打を狙いにいって、もっと長打を打っていけば良かったなという時もあった。そういうところかなと思っています」と、OPSを上げるために必要になってくることを2月の都城春季キャンプで自己分析していた。
“長打”にこだわっていた中で、2度目の昇格のタイミングで2本の本塁打。「今は長打出して欲しいと言われていますけど、自分のスイングをしっかり打席の中でできるようにというのを考えてやっています。その結果、長打も増えていますし、継続してやっていけたらなと思います」と手応えを掴みつつあった。
その一方で、「まだ打点が少ないので、チャンスでなかなか打ててないですし、チャンスで回ってきたら結果を残せるように。なんとか1点でも多く考えてやっていきたいのはあります」と課題を口にした。
プロ入り2年間、上田はチャンスに強く1年目の得点圏打率が.357、2年目の昨季が.333だった。5月15日の取材で、相手の配球が変わってきたのか訊くと、「これだけなかなか打てないので、なんとか出したいという気持ちが強いのかもしれないですし、自分としてはランナーがいようがいないが、同じ形で打席に入れるようにやっていきたいと思います」と話していた。
課題にしていた左投手に対しても、5月22日の楽天戦で、2-1の7回一死走者なしの第3打席、鈴木翔天に2球で追い込まれるも外角のスライダー、ストレートをきっちりと見送り、3ボール2ストライクから8球目の外角131キロスライダーを見送り四球を選ぶなど、内容のある打席だった。
しかし、第2号本塁打を放った5月12日の日本ハム戦を最後に5試合連続で安打がなく、5月28日に3度目の一軍登録を抹消。
降格後、ファームでは圧倒的だった。5月29日の広島二軍戦、5-0の6回無死一塁で岡村了樹の初球、工藤泰己の投球モーションを完全に盗み二塁盗塁を決めれば、11-2の8回二死一、三塁の第5打席、松本竜也が投じた初球の115キロカーブをライトに3ラン。
6月6日のヤクルト二軍戦、2-0の初回二死二塁の第1打席、青柳晃洋が2ボール1ストライクから投じた4球目の高めの138キロストレートをライトポール際に打った瞬間にそれとわかる特大の2ラン。5試合に出場して、打率.364、2本塁打、7打点と打ちまくり、6月10日に一軍に帰ってきた。
スタメン出場した10日の中日戦、12日のDeNA戦ではノーヒットだったが、13日のDeNA戦、0-15の4回二死一、二塁の第2打席、篠木健太郎が1ストライクから投じたストレートを右中間に弾き返す適時打。「良かったとは思いますし、これが継続できるようにしっかりやっていきたいと思います」と、チャンスで“1本”が出た。
得点圏で1本が出て流れが変わっていきそうな感じがあるか、14日の試合前練習後に確認すると、「そうですね、良くなっていけばいいなと思いますし、考え方というか、打席の中でも変えずにそのまま行けたらいいなと思いますね」と力を込めた。
同日のDeNA戦、1-2の5回無死走者なしの第2打席、「ずっとまっすぐに振り負けていて、サブローさんにもまっすぐ行けよと言われたのを思いながら打席に立って、いい結果が出たので良かったです」と、尾形崇斗が1ボール2ストライクから投じた4球目の152キロストレートをライトポール際に同点の第3号ソロ。
守っても、試合前練習で入念にセカンドでノックを受け、「ずっとファームでもやらせてもらっていますし、そんな大きなプレーを考えず、1個ずつアウトを取れるものをしっかり取れるようにやっていきたいと思います」と試合前練習後に話したように、セカンドの守備機会もしっかりとこなした。
あとは一軍で“継続”して結果を残すだけ。その継続が難しい。ただ、自分自身が課題とする部分を昨年秋から取り組み、試行錯誤しながら前に進んできた。「まだチームに大きく貢献できているかと言われたらそうでもないと思うので、しっかり自分のできることを毎日やりながら、やるべきことをやってそれがチームの勝利につながっていけたらいいなと思います」。今度こそチャンスをモノにし、チャンスで勝負強い打撃、そして滞空時間の長い放物線をたくさん見せて欲しい。マリーンズファンは、期待をしている。
取材・文=岩下雄太