こともなげに藤平尚真投手(27)は己の仕事を完遂した。5―4の5回2死。4番のE・スアレスに対し、フルカウントからの8球目、最後は153キロの高め直球で捕邪飛に仕留め右拳を握った。
宮崎強化合宿ではアドバイザーのダルビッシュから外国人選手への高めの使い方を伝授された。「『外国人のバッターは(ボール)1個分、日本人打者の高めよりも高いところを狙っていかないと(ボールが)真ん中ぐらいにいっちゃうから、1個分高いところに投げる練習をしたらもうちょっと投球の幅が広がるよ」。今までの自分にはなかった新たな“引き出し”。大舞台で、レジェンドの教えを生かした投球を披露した。
藤平の生命線は直球とカウントと決め球にもなるフォーク。昨オフから「WBCのために」ツーシームを新たに習得した。宮崎合宿中のブルペンでも練習していたが、ダルビッシュからは「今はすごく真っすぐとフォークがいい。ツーシームを見せ球にしていこう」と、一番自信のある球を磨くことを提案された。「ダルビッシュさんならではの意見。頭になかった」と“原点回帰”のきっかけをもらった。
この日の見せたしびれる勝負は直球とフォークの2球種のみ。クイックも入れながら自分の持ち味を最大限に発揮した。
侍では24年のプレミア12から連続無失点を続ける男が、またひとつ存在感を高めた。