巨人ドラ1右腕 4度の戦力外通告を経て1軍広報担当として第3章を歩む【プロ野球12球団去る人】

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2024.12.29(日) 10:50

鍬原拓也

 華々しい巨人軍ドラフト1位選手としてのスタートが第1章なら、3度の戦力外通告を経て育成選手としてソフトバンク入りしたのが第2章。鍬原拓也さん(28)は、抜群のコミュニケーション能力を生かしてソフトバンクの広報(1軍担当)としてプロ野球人生の第3章を歩む。

 プロ人生4度目の戦力外は10月28日。一時は現役続行を模索したが、球団スタッフとして働かないかと打診され、ユニホームを脱ぐことを決めた。

 「残るならチームに近いところで、と思っていました。広報ってどんな仕事なんだろうっていう不安はすごくありましたが、僕に向いていると思います。正直、コミュニケーション能力は人より長(た)けてるかなと思う。この能力を使ってこれからメディアの皆さんと接していきたい」

 巨人入りした2018年、連日殺到するドラ1への取材依頼をさばいていた元巨人外野手で当時広報の隠善智也氏(40)の働きぶりも参考になった。

 若手から尊敬される兄貴分だった。ソフトバンクにもすぐに溶け込み、若手には技術はもちろん、生活面のアドバイスを欠かさなかった。23年ドラフト1位の前田悠伍投手(19)は常々「人間性、社会人としてのイロハは鍬原さんに学んだ」と話す。新米広報は通常業務に加え、もうひとつ“裏業務”も受け持つつもりだ。「若い選手が1軍に上がってきた時、困ってることがあればアドバイスできると思う。そういう面でも自分に向いてるのかなと思います」

 球団スタッフとして経験を積んだ先に、プロ野球人生“第4章”も思い描いている。「将来的には指導者になりたいと思っています。広報として外から野球のことを学んで、その先ですね」。中日の小林正人2軍投手・育成コーチ(44)も引退翌年の15年から10年間、広報を務めていた。4軍制で所帯の大きいソフトバンクなら、より可能性は広がる。

 ドラ1の光も知り、戦力外通告や育成再契約の陰も知る。「なかなか、こんな選手はいない。そういった経験も役に立つのかなと思います」。最後の戦力外通告から2か月。「まだ現実味を帯びていない。こんなに長い期間、ボールやグローブに触らないのは初めて。すごい違和感っていうか、気持ち悪い感じはありますよね」と苦笑いを浮かべた。球団スタッフからは「年内はゆっくり休んで」と伝えられている。25年1月上旬、選手寮に入寮するドラフト1位・村上泰斗投手(18)=神戸弘陵=の取材を取り仕切るのが最初の仕事だ。(ソフトバンク担当・田中 昌宏)

 ◆鍬原 拓也(くわはら・たくや)1996年3月26日、奈良県生まれ。28歳。小3から本格的に野球を始め、大正中では橿原磯城シニアに所属。北陸高(福井)では甲子園出場なし。中大では1年春からリーグ戦に登板。17年ドラフト1位で巨人入り。2度の戦力外通告、育成再契約を経て、23年オフに3度目の戦力外通告を受け退団。ソフトバンクと育成選手として契約。24年オフに4度目の戦力外通告を受け引退。175センチ、84キロ。右投右打。

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