【ソフトバンク】山川穂高はチームの敗戦を背負える真の4番打者 16打席連続ノーヒットで日本シリーズ終戦後の風景
スポーツ報知
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2024.11.4(月) 21:30
ソフトバンク・山川穂高はネクストサークルで終戦を迎えた。日本シリーズ第6戦の9回2死。柳田が三振に倒れ、一矢を報いる打席は回ってこなかった。試合後は球場内通路で自ら立ち止まり囲み取材に応じた。「打てなかったですね。横浜が素晴らしかった」。素直に相手をたたえ、約6分半、球団広報が止めに入るまで、メディアの問いかけに丁寧に答え続けた。この試合だけでない。3試合連続でノーヒットだった本拠地・みずほペイペイドームの試合でも、必ず通路で立ち止まり、質問が途絶えるまで取材に応じていた。
「記者の向こうにファンがいる」―。王会長の監督時代からの教えが根付く、ホークスの選手は総じて取材対応が素晴らしい。だが、移籍1年目の山川の対応は際立っている。結果が良くても悪くても理路整然と冷静に答える。打てなかったときには、そっとしておいてほしいときもあるだろう。それでも逃げも隠れもしないのは、シーズン143試合、CS最終ステージ3試合、日本シリーズ6試合の計152試合に全試合4番で先発出場した男の矜持(きょうじ)だろう。
シーズンでは34本塁打、99打点で2冠に輝いた。日本ハムとのCSファイナルでは3試合で打率5割(12打数6安打)、3本塁打、6打点でMVP。日本シリーズでも第1戦は無安打だったが、第2戦で先制2ランを含む3安打3打点。第3戦以降、無安打に苦しむとは誰も予想できなかっただろう。
第2戦の本塁打を含む3安打はすべて変化球を打ったもの。第3戦以降、DeNAの捕手・戸柱の配球はストレートの割合が増え、そして効果的に織り交ぜてきた。もともと山川は真っすぐに強いが、下手にかわしにかかるのは危険と感じたかのようだった。
第3戦目、エース・東と対戦した1回1死一、二塁の第1打席もそうだった。初球は真ん中のストレートをファウルすると、1ボール2ストライクからの4球目は外角ストレートで遊ゴロに仕留められた。第4戦のジャクソンには1、2打席目にストレートで完全な力負け。速い球を意識させられたところで3打席目、4打席目は変化球で抑えられた。極めつけは第6戦の1回2死三塁の第1打席。大貫にスプリット、ツーシームで2ストライクに追い込まれると、意表を突かれた真ん中のストレートに振り遅れての3球三振だった。DeNAの勢いを止めるためには先制点がほしく、ターニングポイントになり得る打席だった。
山川はシリーズでの不振について「迷いはなかった。迷って、頭がこんがらがってというところではなかったです。ただ、自分がこう行くぞと思ったときにかわされて、ちょっとここはこうかなと思ったときに違うのが来てというのはありました」と振り返った。短期決戦は、裏ばかりでて終わってしまう怖さがある。「この悔しい景色というか光景を忘れず、また練習に励んでいくしかに。非常に悔しい気持ちでいっぱい」。福岡に戻った4日には、本拠地で汗を流す姿があった。来年こそ「日本一の4番打者」の称号を得たい。
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