【ソフトバンク】プロ初登板の2年目・木村光、好投の秘密は「右肘、左肘」交互に見せて2回無失点
スポーツ報知
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2024.9.3(火) 23:26
◆パ・リーグ ソフトバンク3―6日本ハム(3日・みずほペイペイドーム福岡)
お笑いコンビ時代の「2700」のようだった。ソフトバンクの木村光投手が折り曲げた左肘を突き出し、次いで右肘も突き出した。「右肘、左肘」。2年目右腕がそこまで言うと、囲み取材の報道陣は、脳内で「交互に見て」という言葉をリフレインしていた。
3点ビハインドの5回からプロ初登板。2回無失点でデビューを飾った。先頭の郡司にデビュー初球を右前に運ばれた。だが、続く上川畑のバントを捕球すると二塁で封殺する好フィールディング。やや送球が高投になったことで、日本ハム・新庄監督がビデオ検証をリクエストした。「フィールディング系は自信あるんで。投げてああいう形になって、ちょっと(二塁から足が離れかけた今宮さんに)申し訳ないなって思って(笑い)。多分それで落ち着いたってのもあるかな」と以降は冷静に投球できた。
直球は自己最速タイの151キロ。5回2死一、二塁で万波を空振り三振に仕留めたスライダー、6回2死一塁でマルティネスを遊ゴロに打ち取ったスプリットもさえた。今春に右腓(ひ)骨を疲労骨折してからウェートトレーニングに取り組み「それで出力を出せるようになったのかな」と、歌手のナオト・インティライミ似の表情がほころんだ。
1軍昇格は、レジェンドの助言があってこそ、だ。「和田(毅)さんに教えてもらって…」と木村光は振り返る。「キャッチボールをしてるのを見ていただいて。森山さん(良二リハビリ担当コーチ)と『(左肩の)開きが早い』というを話していて。僕も自覚はしてて、そこで和田さんにアドバイスいただいたんです」
それが冒頭の「右肘、左肘」だ。「腕じゃなくて(両肘を)意識しました」。リリース時は右手の位置にこだわるのではなく、右肘に意識を置く。「だいだいここらへんで(ボールを)離せばいい」という、いい意味でアバウトさが奏功した。テイクバック時も左肩を意識するのでなく、打者方向に向ける左肘にイメージを置く。「開きが早いんで、こうやって左肘を上げて…」と身ぶり手ぶり。それこそ「右肘、左肘、交互に見て」と言わんばかりに報道陣にフォーム改造の成果を熱弁した。
奈良出身。声を張って関西弁をしゃべる様子は、まるで芸人のよう。22年育成ドラフト3位で佛教大から入団。1年目の昨年7月に支配下登録を勝ち取ったが、胸椎分離症の影響で1軍昇格は実現しなかった。今季も足の故障に苦しみながら、ようやく9月に1軍マウンドまで上り詰めた。あざなえる禍福も「交互に見て」といった風情の24歳。プロ野球人生が本格的にスタートした。
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