ロッテ・石川歩「ダメだったらやめるんだな」右肩手術、育成経験36歳669日ぶり勝利 吉井監督「技術は天下一品」

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2024.7.1(月) 05:00

ロッテ・石川歩

◆パ・リーグ ロッテ7―0オリックス(30日・ZOZOマリン)

 昨年10月に右肩の手術を受け、育成契約を経て支配下に復帰したロッテ・石川歩投手(36)がオリックス戦に先発し5回3安打無失点。22年8月31日のソフトバンク戦(ペイペイD)以来669日ぶりの復活白星を挙げた。

 待ちわびたマリーンズ・ファンの大歓声を浴び、石川歩が晴れのお立ち台でおなじみのフレーズを4度絶叫した。「絶景で~す!」。669日ぶりの勝利の味をかみ締め、チャームポイントに挙げる「屈託のない笑顔」がはじけた。22年9月13日の日本ハム戦(ZOZO)以来、656日ぶりの1軍マウンドは5回3安打無失点。75球に熟練の技を込めた。

 最大13メートルの強風が吹き荒れる中も「ピシャリとはいかなかったけど、何とか耐えることができてよかった」。初回、2番・森の左中間への二塁打などで2死三塁のピンチを招いたが冷静。西川をテンポよく追い込むと、内角144キロの直球で見逃し三振に仕留めた。小雨も交じる悪天候の中、毎回走者を背負うも多彩な変化球で的を絞らせなかった。4回、先頭の西川には得意のシンカーで完全に泳がし、空振り三振。復活を存分にアピールした。

 引退の2文字も覚悟した。昨季は10年目で初めて1軍登板なし。投手にとっては致命的ともされる右肩を負傷し、「これで投げてもな、という状態だった。ダメだったらやめるんだなとは思ってました」。昨年10月には手術に踏み切った。懸命なリハビリで克服し「いろんな方に見てもらえて、停滞することなく来られた」。今季、育成からはい上がった。

 同じ境遇の後輩と試練を乗り越えた。大隣2軍投手コーチも「見本になることが多いし、練習以外の部分も勉強になる点が多かった」と指摘するように、後輩の問いには真摯(しんし)に答えた。ポジションこそ異なるが、5月に2年ぶりに1軍復帰した高部も同じく右肩手術を経験。昨年は2軍で時間をともにし、治療法から共通の趣味まで話した高部は「気さくで本当にいろんな話ができ、相談もした。野球への向き合い方、体に対しての考え方は人一倍優れている。それがなければ、こんなに早く1軍で投げられない」と大先輩へ感謝と敬意を込める。

 吉井監督は「80球と決めていた。石川らしい素晴らしい投球だった。技術は天下一品。後輩もいい勉強になったと思う」と絶賛。頼れるベテランは「内容としてはまだまだ」と謙そん。チームにとって大事なピースが帰ってきた。(竹内 夏紀)

◆ロッテ石川歩のけが経過

 ▼23年2月21日 「右上肢のコンディション不良」で開幕投手を回避すると吉井監督が発表

 ▼同10月24日 「右肩ベネット骨棘切除術」「後方関節包解離術」「関節唇クリーニング術」と3種の手術

 ▼同31日 球団が来季契約を結ばないと発表

 ▼同11月30日 育成選手として再契約(4000万円減の1億1000万円でサイン)

 ▼24年4月17日 イースタン・オイシックス戦で実戦復帰

 ▼同6月24日 支配下復帰

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