【オリックス】平野佳寿、昨夏右肘痛で引退危機だった カメの歩みのようにコツコツ努力で乗り越える

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2023.10.3(火) 05:00

リクガメのゾノくんと39歳の誕生日を祝うオリックス・平野佳寿(平野佳寿提供)

◆パ・リーグ オリックス3―0日本ハム(2日・京セラドーム大阪)

 オリックス・平野佳寿投手(39)が今季29セーブ目で日米通算250セーブに到達。名球会入りの条件を満たした。岩瀬仁紀、佐々木主浩、高津臣吾に続き、プロ野球4人目で最年長での到達。日米通算での達成は3人目。日米通算203ホールドもマークしている名リリーバーを、オリックス担当記者が「見た」。

 平然とマウンドに立ってきた平野佳は人知れず引退危機に直面していた。「あの時はもう、ダメだと思いました」。昨年8月30日の楽天戦で28セーブ目を挙げると、翌日に突然、右肘が曲がらなくなった。

 今までに感じたことのない痛みがあり、5メートルのキャッチボールでも顔がゆがんだ。9月は5試合の登板にとどまり、セーブなし。それでもCS1試合、日本シリーズで3試合に登板したのはきっと、彼の気力だろう。

 「2023年、やっていけるのか…」。大記録に迫りながら先行きが見えなかった昨オフ、球団から2年契約を提示された。大ベテランの複数年契約はリスクが伴うが「佳寿ならやってくれる」と監督時代から平野佳を知る、福良GMの後押しがあったと聞く。とはいえ、今年1月の自主トレからキャンプと不安や心配、そもそもの痛みが増していった。

 ピークに達したのが開幕当初。それらを解消したのはやはり、毎日の努力だった。トレーナーには体の連動性を意識付けられ、どんな日でも肩のトレーニングだけは欠かさなくなった。「付き合い方が分かってきた」とみるみる良化。戦える体を取り戻し、7、8月は17試合で12セーブ。たった1失点と出色の内容だった。

 186センチ、88キロの恵まれた体格。自身は小食だが「よく食べる後輩を見ているのが好きなんです」と柔らかな笑みを浮かべる。米大リーグからオリックスへ復帰し、自宅でペットとして飼い始めたのがリクガメ。米国で世話になった知人からゾノくんと名付けた。えさを与えるのが平野佳の役目。「いっぱい食べろよ」と優しく触り、すべて食べ終わるまで見つめているのが楽しみだという。

 地味、地道に生きることをスタイルとし、座右の銘は「一所懸命」。カメの歩みのように、コツコツと打ち立てた金字塔には、18年分の重みが詰まっている。(オリックス担当・長田 亨)

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