「一軍の試合でホームランを打ちたい」。高2春の初対決から6年ーーロッテ・山口航輝、日本ハム・吉田輝星とのライバル対決で初本塁打!

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2023.8.30(水) 09:46

ロッテ・山口航輝(C)Kyodo News

 「自分は吉田のことをライバルと思っています。今年(2018年)の夏は自分が打てず決勝戦で負けてしまった。プロの世界に入って、自分がホームランを打って借りを返したいと思います」。

 ロッテの山口航輝は2018年12月4日に行われた新入団選手発表会で、このように宣言していたが、23年8月29日、5年かかったがライバルの日本ハム・吉田輝星からプロ入り後初めて本塁打を放った。

 4-0の8回一死三塁の場面で、今季初のライバル対決。山口は吉田が投じた初球の145キロストレートを見逃し、続く135キロのカットボールをファウルで追い込まれる。それでも3球目のストレート、4球目のフォークを見送り、2ボール2ストライクとすると、5球目の外角のカットボールを左中間スタンドに放り込んだ。

◆ ライバル対決を振り返る

 山口と吉田は高校時代に甲子園出場を目指し、切磋琢磨した間柄。吉田と初めて対戦したのは高校2年春。高2年夏の秋田県大会決勝は、山口の明桜高が吉田輝星のいる金足農業高を下し甲子園出場を果たしたが、高3夏の決勝で金足農業高に敗れた。山口も吉田の前に4打数0安打3三振。

 初めての対戦の時に比べて高3夏の決勝のボールは「全然違いましたね。2年生のときは普通に打てるボールで、変化球も放れてなかったので、真っすぐ張っておけばどうにかなるピッチャーだった。そう考えると3年生になって球の質も変わって、変化球も良くなっていて成長していると思いました」と振り返った。ちなみに、高校3年間での対戦で「ホームランはないです」と、1本も吉田から本塁打を放ったことがなかった。

 ライバル対決はプロ入り後も続き、公式戦では20年7月11日の二軍戦で初めて実現。その時は2打数0安打1三振で打つことができなかった。 「力はたしかに入りました。負けていられないというのはやっぱり一番ですし、あの夏やられて負けたので、ファームの試合ではなくて、一軍の試合で、一軍で打ってこそやと思っているので、一軍の試合でホームランを打ちたいと思います」。山口は当時一軍定着を目指す立場だった3年目の21年2月の取材でも、吉田輝星から本塁打を放つと口にしていた。21年までの3年間は一軍でのライバル対決は1度もなく、二軍で5度対戦し5打数0安打と抑え込まれていた。

 一軍の舞台で初対決となった22年3月8日の日本ハムとのオープン戦でも二直、左飛と封じられたが、一軍の公式戦初対決となった4月16日試合では「あいつとやるときは、いつでも特別な思いがあるので、そこまで一軍、二軍はあまり変わらなかったかなと思います」と、レフト前に安打を放った。「ホームランも打ちたいですし、ヒットもたくさん打てればいいと思います。負けずに頑張りたいと思います」。7月7日の日本ハム戦の1-7の9回二死走者なしの場面で、一軍で2度目の公式戦対決もライト前に放つなど、昨季は3打数2安打だった。

 そして今年の春の取材でも、吉田輝星から本塁打を打ちたい思いを変わらず持っているのか、吉田輝星から本塁打を打てそうだなというのがあるのか訊くと、山口は「そうですね、打ちたいですね。打てそうかはわからないですけど、打ちたいです。(その思いは)絶対に変わらないです」と力強く話していた。

 ブレずに吉田からホームランを打ちたいという思いがついに叶った。山口、吉田ともに球界を代表する選手に成長し、今では少なくなったプロ野球ファンが盛り上がる1対1のライバル対決をこの先も見せてほしい。

◆ 山口航輝と吉田輝星のプロ入り後のライバル対決
▼ 2020年7月11日vs日本ハム二軍
第1打席:右飛
0-0の3回無死走者なし
1球目:122キロカーブ ボール
2球目:122キロカーブ 見逃しストライク
3球目:143キロストレート 空振り
4球目:128キロスライダー ファウル
5球目:128キロフォーク 右飛

第2打席:三振
0-0の5回一死三塁
1球目:143キロストレート ファウル
2球目:141キロ高めボール球ストレート 空振り
3球目:131キロフォーク ファウル
4球目:130キロフォーク ボール
5球目:130キロフォーク 空振り三振

▼ 2021年8月11日vs日本ハム二軍
第1打席:見三振
0-0の2回一死走者なし
1球目:142キロストレート 見逃しストライク
2球目:142キロストレート 見逃しストライク
3球目:131キロフォーク ボール
4球目:131キロフォーク ファウル
5球目:141キロストレート 見三振

第2打席:三ゴロ
1-3の4回一死二塁
1球目:121キロスライダー 見逃しストライク
2球目:137キロストレート ボール
3球目:123キロスライダー ボール
4球目:136キロストレート 見逃しストライク
5球目:130キロフォーク ファウル
6球目:139キロストレート ファウル
7球目:123キロスライダー ボール
8球目:127キロスライダー 三ゴロ

第3打席:二飛
1-3の6回二死走者なし
1球目:スライダー ボール
2球目:ストレート ボール
3球目:ストレート 二飛

▼ 2022年4月16日vs日本ハム
一軍初対決:左安
3-7の6回一死走者なし
1球目:127キロスライダー 空振り
2球目:130キロスライダー ボール
3球目:147キロストレート ファウル
4球目:130キロスライダー ボール
5球目:ストレート 左安

▼ 2022年7月7日vs日本ハム
第4打席:右安
1-7の9回二死走者なし
1球目:139キロストレート 見逃しストライク
2球目:129キロスライダー 見逃しストライク
3球目:フォーク 右安

▼ 2022年9月28日vs日本ハム
第4打席:投ゴロ
10-3の8回無死走者なし
1球目:146キロストレート ボール
2球目:147キロストレート ボール
3球目:125キロスライダー 見逃しストライク
4球目:147キロストレート 投ゴロ

▼ 2023年8月29日vs日本ハム
第4打席:左本 ※吉田輝星から初本塁打!
4-0の8回一死三塁
1球目:145キロストレート 見逃しストライク
2球目:135キロカットボール ファウル
3球目:146キロストレート ボール
4球目:137キロフォーク ボール
5球目:138キロカットボール 左本

※二軍教育リーグ、フェニックス・リーグ、オープン戦の対決は含まない

取材・文=岩下雄太

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