ロッテ・小野コーチ「澤村と益田がいい声がけ、いい雰囲気を作ってくれている」前半戦のブルペン陣を振り返る
ベースボールキング
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2023.7.18(火) 09:35
ロッテ・小野晋吾投手コーチ(撮影=岩下雄太)
42勝32敗4分の2位でオールスター前の戦いを終えたロッテ。2年連続Aクラスとなった20年、21年は投手力を中心に守り勝ってきたが、今年も前半戦でいえば打線がリードを守り切れるくらいの得点を奪い、そのリードを投手陣が守り切った試合が多かった。数字を見ても、ロッテは前半戦、救援防御率はリーグ5位の「3.56」だが、6回終了時点でリードした試合は31勝2敗。勝利をする上で鍵を握るのがリリーフ陣だということがわかる。前半戦は5月18日のオリックス戦、5月21日の楽天戦でブルペンデーを行ったが、3連投した投手は誰もおらず、1週間に4登板以上した投手も益田直也(6月5日〜の週)、坂本光士郎(6月5日〜の週)の2人のみで、それも6月3日から9連戦中だった。場面や状況に応じてリリーフ投手をうまく起用し、決まった形の“勝利の方程式”というよりは、先を見据えて、いろいろな投手を起用しているように見えた。
間近で選手たちの状態を見てきたブルペンを担当する小野晋吾投手コーチは、前半戦のリリーフ陣をどう見ていたのだろうかーー。
「ここまでみんなよく頑張ってくれていると思います。振り返ってみると色々しんどい時も当然あった中で、ベテラン2人、澤村と益田がいい声がけ、若い選手たちも多いのでいい声がけをしてくれていい雰囲気を作ってくれている。なんとかここまで乗り切れていると思います」。
小野コーチは、リーグトップタイの23セーブをマークする守護神・益田直也、今季3年ぶりに復帰した澤村拓一の存在の大きさをあげ、「色々声がけだったり雰囲気を良いように作ってくれている。僕からもすることもないですし、いい雰囲気の中で準備をしてくれていると思いますね」と感謝する。
小野コーチを開幕から取材していると、“準備”という言葉を口にすることが多い。小野コーチから見て、どの辺りが良い準備と感じているのだろうかーー。
「色々登板するポジションが変わったりとか、難しい場面での登板もシーズン中だったらある中で、そういうのを自分で予想しながらであったり、あとはベテラン組が声がけしてくれて、早め早めに準備してくれているところがうまくいっているのかなと思います」。
開幕前の3月にトレードで日本ハムから加入した西村天裕はビハインドゲームで存在感を示し、5月以降は勝ち試合の6回や7回、同点の場面などで登板し、坂本光士郎もビハインド、勝ち試合、東妻勇輔もイニング途中からマウンドに上がったり、横山陸人は7月9日の日本ハム戦で3-2の9回に登板しプロ初セーブをマークした。
7月9日の日本ハム戦に関しては勝ち試合の8回、9回に任されることが多かったペルドモ、益田が連投中ではなかったが、1-2の8回表に逆転した直後の8回裏に澤村、そして9回は横山にマウンドを託した。
小野コーチは、勝ち試合の9回に横山を任せた7月9日の日本ハム戦について、「当然初めてああいうところで任されてすごく緊張した場面だったと思うんですけど、ただ今までやってきたことをそのまま出してくれたというか、ファームでもああいうポジションで投げたりしていた。送り出す方もそのまんまの気持ちでいってほしいということを伝えたました。そのまま結果に繋がってくれたので、あれは本当に嬉しかったですね」と振り返る。横山は昨年からファームでも抑えを任される機会が増え、今季も5月26日の日本ハム二軍戦でセーブを挙げている。ファームと一軍での違いはあるが、経験を積んできた。それが結果という形になって現れた。
7月9日の日本ハム戦に関わらず、前半戦はさまざまな形で逃げ切ってきた。複数のパターンを持つことで、“勝ちパターン”のリリーフに依存しすぎず、勝負の夏場以降に向けての布石にも感じる。
小野コーチは「まあ、まだまだこれからだと思うので」としながらも、「これからどんどんしんどくなってくると思うので、しんどい中でも、成長していけるところだと思う。まだまだ成長していかないといけないチームなので、そこで結果につながるようないい準備をできるような声がけをしていきたいなと思います」と意気込んだ。
ロッテがリーグ優勝するためにも、得点力ももちろん必要になってくるが、投手陣、中でもリリーフ陣の出来が勝敗を左右する。ファームで調整するベテラン陣の調子が上がっていないところは気になるが、一軍はシーズン最終盤を見据えた登板管理、運用はしっかりできている。今年こそ秋に歓喜の瞬間を迎えたい。
▼ 主な救援陣の投球成績
益田直也 36試 2勝2敗9H23S 防3.48
ペルドモ 34試 1勝1敗28H1S 防1.67
西村天裕 30試 1勝0敗8H0S 防0.90
坂本光士郎 27試 0勝0敗7H0S 防3.33
澤村拓一 26試 4勝2敗13H2S 防4.97
東妻勇輔 21試 0勝1敗8H0S 防2.14
横山陸人 17試 0勝0敗1H1S 防4.58
岩下大輝 16試 1勝0敗2H0S 防1.65
▼ 3連投した投手(移動日挟む3連投は含まない)
なし
▼ 1週間に4登板以上した投手
益田直也(6月5日〜の週)
坂本光士郎(6月5日〜の週)
取材・文=岩下雄太