【日本ハム】田中正義「こういう景色を見られてすごくうれしい」 16年ドラ1が右肩痛乗り越えプロ初勝利

スポーツ報知

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2023.5.8(月) 06:00

ウィニングボールを手にプロ1勝のポーズを決める田中正(カメラ・佐々木 清勝)

◆パ・リーグ 日本ハム3x―2楽天(7日・エスコンフィールド)

 よみがえった剛球が、うなりを上げた。2―2の9回2死。日本ハム・田中正義投手(28)はこの日最速154キロで山崎を空振り三振にねじ伏せた。先頭から圧巻の3者連続Kで、本拠地の雰囲気を一変。直後のサヨナラ劇を呼び込み、7年目で待望のプロ初勝利が舞い込んだ。「時間はかかりすぎたけど、こういう景色を見られてすごくうれしいです」。喜びも苦労も全てをかみしめ、お立ち台で2万5250人の拍手を浴びた。

 今年1月9日。FAでソフトバンクへ移籍した近藤の人的補償について報道陣から問われた新庄監督は「『た』から始まる」と候補を明かした。「もしかしたら俺かも」。報道を見て右腕は悟った。同僚との別れは惜しかった。それでも「俺はプロ野球選手」と必要とされた新天地で、野球人生を変える覚悟を決めた。

 5球団競合の末に16年ドラフト1位でソフトバンクに入団したが、度重なる故障に悩まされた。右肩痛の発症はプロ入り後だけで10回以上。創価大1年時から体のケアをしてもらっている岩田雄樹さんは「けがを繰り返したことで、精神的にトラウマになった。最後はちょっとした違和感でも臆病になって痛いと。敏感になりすぎていた」と苦労を明かす。お立ち台で口にした「いいことが続きすぎて怖さがある」という言葉に、これまでの苦しみも詰まっていた。

 人を笑わせることが好きで、かつて「放送作家」も夢見た男は、新庄監督の教えで笑顔を取り戻し、今や新守護神として4セーブ。指揮官は「3人で終わらせてくれた結果がサヨナラにつながった」と右腕をたたえた。新庄政権下で初の3カード連続勝ち越しとなり、一日で5位に再浮上。故障者を出しながらもGWは6勝2敗だ。田中正は「何とかシーズン最後まで」と1年通して投げ抜くと誓った。4月26日のオリックス戦(エスコン)で涙のプロ初セーブ。そして11日後に初勝利。止まっていた時計の針は今季、確実に動き始めた。(堀内 啓太)

 ◆田中 正義(たなか・せいぎ)1994年7月19日、神奈川県生まれ。28歳。創価高―創価大。3年時に大学日本代表。同年にユニバーシアード夏季大会の優勝に貢献。16年ドラフト1位でソフトバンク入団。昨オフに人的補償で日本ハムへ移籍。通算48登板で1勝2敗4セーブ。188センチ、93キロ。右投右打。

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