◆パ・リーグ　オリックス２―１楽天（１９日・京セラドーム大阪）

　試合も、自身の感情も、オリックス・田嶋大樹投手（２６）はコントロールしていた。１点のリードを守護神・平野佳に託した９回だ。２死一、二塁で山崎が右前打。「波を立てずにいよう」と冷静を保った結果、右翼・小田の好返球で二塁走者・西川が本塁憤死し、試合終了。「本当にありがたかったです」と謙虚に今季２勝目を喜んだ。

　「本当にシンプルです。試合をつくる。勝ち負け関係なく、しっかり自分の仕事を全うするだけ。チームを信じて投げ抜けたことがとてもよかった」。４回に先制を許しても、とにかく我慢強かった。今季の先発陣では最長の８回を投げ、１失点の好投。力投が実り、味方が勝ち越してくれた。

　楽天には２０年１１月５日から１８試合負けなしの９連勝だ。「脳に染みついちゃうので、言われない方がいいかもしれないです」と試合後、報道陣に要望したのは炭谷との相性について。昨年１４打数１０安打、今年も３打数２安打だった天敵も３打数無安打と退治した。

　華やかなプロ野球の世界で堅実に歩みを進めている。愛用する三日月形のショルダーバッグは量販店で買ったもの。機能性重視で「Ａｐｐｌｅ　Ｗａｔｃｈ」を好み「時間は有限なので」と“丁寧な暮らし”を実践している。ファンレターは１通１通に目を通し、贈り物とともにすべて保管。シュウィンデルと並んだお立ち台でも「ファンの方々、来ていただいてありがとうございます」と言葉を添えた。

　昨季は自己最多の９勝。未体験の２ケタ勝利に向けて好発進した。チームも貯金生活に復帰させ「数字だけ見れば得意と言われるのも仕方ないけど、別に気にしていない。僕からしたらパ・リーグの１チームに全力で投げるだけなので」と謙虚さを忘れなかった左腕。山本や宮城に続く、太い柱になっている。（長田　亨）

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