【日本ハム】杉谷拳士はもがき苦しんだ「将来の1億円プレーヤー」

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2022.10.29(土) 06:45

11年7月2日の西武戦、プロ初安打を放った杉谷拳士はマスコットから祝福される

 日本ハム・杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で会見に臨み、今季限りで現役を引退することを表明。「引退会見という言葉は使いたくありません」と「前進会見」で約45分、語り尽くした。何度も言葉を詰まらせていた中、栗山英樹前監督(61)=現侍ジャパン監督=がサプライズ登場し、号泣。今後は起業なども含め、スポーツに携わる意向を示した。

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 今から11年前、当時日本ハム投手の林昌範さんから「もしかしたら、将来1億円プレーヤーになるかもしれないですよ」と紹介されたのが杉谷だった。20歳とは思えないほど礼儀正しく、ハキハキと自分の意見が言える選手だな、と強い印象が残っている。

 1軍で頭角を現し取材を重ねると、ファンが目にする元気者のイメージは一変した。全国のトレーニング施設を探し、若手の頃からお金を惜しまず自らに投資。向上心を持って野球に取り組んでいた。一方、カメラやマイクを向けられると一瞬でいつもの明るい杉谷に変身。周囲の期待を誰よりも理解していた。

 16年のオフ。突然「来年レギュラーを取れなかったら、野球を辞めようかなと思っています。やりたいことはいっぱいある。勉強もしたいし、始めるのは早い方がいいでしょ」と言われた。顔は真剣だった。

 内外野を守れ、代打、代走、守備固めで使える選手はベンチにいるだけで価値がある。一方、本人はチャンスをもらいながら殻を破れずもがいていた。173センチと、小さな体で毎年毎年、覚悟を持ってプレーしていたのだな、と今思い返している。

 14年間レギュラーは取れなかった。1億円プレーヤーにもなれなかった。でも、真摯(しんし)に取り組み、野球人の枠を超え、多くの人を笑顔にさせた。将来の夢のひとつは「野球場を作りたい」。杉谷にしかできない第二の人生でも、人を喜ばせてくれるはずだ。(10、11、17年、日本ハム担当 岸 慎也)

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