オリックスと山本由伸を救った“1球” 試合開始早々に女房役が見せた機転
ベースボールキング
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2022.9.18(日) 06:44
オリックス・若月健矢(左)と山本由伸(右)
◆ 「いつもと違う山本を元に戻した」オリックスの山本由伸投手が17日、本拠地で行われた首位ソフトバンク戦に先発し今季14勝目となる完封勝利。逆転優勝への望みをつなぐ、大きな1勝をチームにもたらした。
ピンチらしいピンチは初回だけだった。1回先頭の周東佑京に四球を出したが、続く三森大貴を一塁手・T-岡田の好守で一ゴロ、牧原大成を遊ゴロと打ち取り二死三塁。得点圏に走者を置いて迎えた主砲・柳田悠岐は156キロの内角速球で空振り三振に退けた。
2回以降は二塁すら踏ませなず、わずか2点の援護点も十分と言わんばかりの圧巻の内容。9回114球、4安打1四球7三振で今季2度目の完封勝利を飾った。
同日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した野球解説者の大矢明彦さんは、「山本がインタビューで言っていたように“勝たなきゃいけないゲーム”だったので、立ち上がりに力みがあったかもしれない」と、制球を乱した初回の投球に注目。
山本は初回先頭の周東に5球連続ストレートを投じたが制球が定まらず四球。続く三森に対する初球のカーブも内角低めに外れたところで、捕手の若月健矢はタイムをとりマウンドへ駆け寄った。
大矢さんは、この「カーブ」と「タイム」が山本を蘇らせたと分析する。
「真っ直ぐが散らばっているときは、カーブを1球挟むことで少し手首を楽に使えるようになって、ピッチャーが立ち直ってくる。これは僕もそう教わってよくやったことがある。あの四球の後に、カーブを投げさせて間をとった若月のリードとタイミングが、いつもと少し違う山本をもとに戻していった、そういう“カーブ1球”だったと思います」
女房役の気遣いが光ったワンシーンについては、同番組に出演した斎藤雅樹さんも「負けられないという中で、いつもより緊張していてコントロールがばらついていた。それをキャッチャーが見抜いて間を取ったというのは本当に素晴らしかった。投手心理も楽になる。(若月に声を掛けられた山本に)笑顔も出ていましたから」と賛辞の言葉を送った。
昨季『最優秀バッテリー』に輝いた名コンビは今季も健在。4冠の大エースを支える女房役の働きも忘れてはならない。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2022』