ソフトバンクは３日、大関友久投手（２４）が左精巣がんの疑いで、２日に福岡市内の病院で左睾丸（こうがん）の高位精巣摘除術を受けたと発表した。復帰時期は未定。

　球団によると、大関は先週末から左睾丸にしこりを感じていたという。痛みはなかったものの、１日に泌尿器科を受診。見つかった腫瘍に悪性（がん）の可能性があると診断された。２日に別の病院での精密検査を経て、同日夜に左精巣を全摘出する手術を受けた。今後、摘出した睾丸を解剖し、転移がないかなどを判断するが、現時点では発見されていない。約１週間入院した後は、定期的に検査を受ける予定。

　大関は最速１５２キロの速球を武器に、支配下登録２年目の今季、プロ初勝利を挙げた。前半戦で６勝をマークし、新人王の有力候補に挙がっていた。初出場したオールスターでは７月２６日の第１戦（ペイペイＤ）で先発を務めた（１回２安打１失点）。後半戦初登板の同３０日の西武戦（同）は３回途中６安打４失点で６敗目を喫していた。藤本監督は「本人が一番つらいだろうし、早く復帰できるように願うばかり」と祈るように話した。

　現役選手では、阪神・原口文仁内野手が１９年１月に大腸がんを公表。手術を受け、同年６月に１軍に復帰した。

　近大病院泌尿器科・藤田和利准教授「今回の大関投手のケースは、腫瘍マーカーや触診などの結果で手術に至ったと思われますが、通常は１、２週間の検査を経て、がんかどうかを判断します。それまでは“疑い”という言い方になります。仮にがんだとしても、一般的には他に転移がなく、術後の経過も良好であれば、１週間ほどで発汗を伴う通常の運動が可能です。今季中の試合への復帰も大丈夫だと思います。転移が見つかった場合は、数か月の抗がん剤治療などを行いますが、かなり高い確率で完治が見込まれます。また、睾丸の摘出が日常生活に影響を及ぼすことも、特にはありません」

　◆ローテ緊急再編　○…大関の離脱により先発ローテ再編を迫られた。大関が先発するはずだった６日の楽天戦（ペイペイＤ）は、４日の日本ハム戦（札幌Ｄ）で今季初先発予定だった武田に変更されることが有力。４日は、新型コロナに感染していたレイが、予定していた２軍戦登板を経ずに先発する。

　◆大関　友久（おおぜき・ともひさ）１９９７年１２月１４日、茨城・土浦市生まれ。２４歳。土浦湖北高では１年秋からエースも甲子園出場なし。仙台大を経て１９年育成ドラフト２位でソフトバンク入団。昨年５月に支配下登録され、１２試合に登板。今季は開幕ローテ入りし、１８登板で２完封を含む６勝６敗、防御率３．０１。通算３０登板で６勝６敗、防御率２．８８。１８５センチ、９４キロ。左投左打。年俸１１００万円（推定）。独身。

　◆精巣がん　精子や男性ホルモンをつくる男性生殖器・精巣のがん。患者は１０万人に１人程度だが、２０～３０代男性のがんの中では割合が高い。痛みがないまま、精巣に腫れ、しこりができたりすることが多く、進行すると呼吸困難などを起こす。一般的に最初に行う手術「高位精巣摘除術」は腫瘍のある側の精巣を血管や神経とともに摘出。症状に応じ、転移しやすい腹部のリンパ節を摘出する手術「後腹膜リンパ節郭清術」を行う場合もある。お笑いコンビの爆笑問題・田中裕二は００年に睾丸（こうがん）摘出手術を受けた。プロ野球界では、０６年８月に楽天・戸叶尚投手が精巣腫瘍の摘出手術。同年に戦力外通告を受けて引退した。

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