
◆パ・リーグ ソフトバンク3―7楽天(8日・福岡ペイペイドーム)
役者が違った。楽天・涌井秀章投手(36)が、優勝戦線に踏みとどまる快投を演じた。4―2の6回2死。スライダーで中村晃を一ゴロに抑えると、ゆっくりベンチへと戻った。約4か月ぶりの1軍復帰戦で6回3安打2失点、86球の力投で5月4日以来の4勝目。「戻ってこられてよかった。投げていて楽しかった」と大粒の汗を拭った。
初回1死一塁で高めに浮いたシンカーを柳田に左翼テラス席に運ばれた。それでも2回以降はスライダー、カーブにチェンジアップも織り交ぜ緩急をプラス。豊富な球種を巧みに操りゼロを並べた。
5月18日のロッテ戦(ZOZO)で右手中指に打球を受けて骨折。指は内出血で倍ほどに膨れ上がった。エックス線写真を見ると複雑骨折しているのが分かった。ボルト3本を入れる固定手術は成功したが、完治まで3か月。術後は体温の上昇によって患部に影響が出るため入浴も禁止された。本人は多くは語らないが、同じような故障で競技復帰したプロ野球選手の例は少なく、選手生命が脅かされるような「生まれて初めての大けが」だった。
療養中は毎日、息子と話すテレビ電話に癒やされた。海の向こうにいる盟友・ダルビッシュ(パドレス)からは回復の足しになるようにとグルタミンやビタミン類のサプリメントが大量に届いた。同僚の塩見やトミー・ジョン手術を受けた古巣ロッテの西野ら、リハビリを乗り越えた選手からの助言もあった。周囲の支えが何よりの励みとなった。
負ければ自力V消滅の一戦を取り、5カードぶりの勝ち越し。残り20戦で首位・ソフトバンクとは2・5差に迫った。「あと2回くらい投げるのでしっかり勝ちたい」。涌井が逆転Vへの機運を高めた。(長井 毅)