
2022年のドラフト1位でオリックスに入団した曽谷龍平投手。3年目の昨季は開幕からローテーションを支え、前年を上回る21試合に先発。5月18日の埼玉西武戦でプロ初の完投勝利を挙げるなど、前半戦だけでキャリアハイの8勝をマークした。さらに11月に行われた「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」では韓国打線を相手に3回パーフェクトとアピールに成功し、先日発表された「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC」のメンバーにも名を連ねた。今回は成長著しい左腕・曽谷投手のピッチングをデータで紐解いていく。
少ない球種で打者と勝負

曽谷投手の球種別投球割合を見てみると、カットボールの割合が年々減少し、ルーキーイヤーと比べてスライダーとフォークが増加していることが分かる。昨季はストレート、スライダー、フォークの3球種だけで投球の約99%を占めており、先発投手としては比較的少ない持ち球で打者と勝負していた。その中でも「ジェットコースタースライダー」と称されるスライダーは、大学時代から武器としてきた球種で、120km/h台後半で鋭く大きく曲がる軌道が特徴的だ。ここからは、年を追うごとに投球割合を増やしている左腕のスライダーについてより詳しく見ていきたい。
低めに決まるスライダーが増加

まず注目したいのがスライダーの高低別での投球割合だ。ルーキーイヤーの23年は低めのコースに投じられる割合が41.1%にとどまっていたが、昨季は同割合がリーグ平均を上回る65.5%を記録。打者に痛打されやすい真ん中から高めに浮くことが減り、スライダーを低めに制球できていることがうかがえる。
ボールゾーンで空振りを奪えるように

低めに制球されるようになったスライダーは、ボールゾーンで有効に機能している。1年目こそボールゾーンでのスライダーの奪空振り率は4.9%だったものの、2年目に14.1%と大きくその数値が改善されると、昨季はリーグ平均を上回る19.0%をマークした。ボールゾーンでのスイングを誘発するだけでなく、空振りも奪える信頼度の高い球種となり、結果的にスライダーの投球割合の増加につながっているのだ。
決め球としても効果的なボールに

スライダーの奪空振り率が向上したことで、2ストライクからの同球種の投球割合が増加。24年まではストレートが最も多かったが、昨季はスライダーが最多の42.3%を占めた。追い込んでからの被打率は持ち球の中で唯一の1割台を記録するなど、直球に変わる決め球として威力を発揮。また、スライダーで奪った三振は54を数え、パ・リーグの左投手ではチームメートの宮城大弥投手に次いで2番目に多かった。昨季の曽谷投手にとって、精度の上がったスライダーが頼りになる球種だったのは間違いないだろう。
昨季は前半戦だけで8勝を挙げたものの、後半戦はコンディション不良や試合中のアクシデントもあり、思うように成績を伸ばせなかった曽谷投手。オフにはタフネス右腕・九里亜蓮投手に弟子入りし、1年間投げ抜くための土台づくりに取り組んだ。開幕が迫るWBCでは貴重なサウスポーとして自身の役割を果たし、26年シーズンのさらなる飛躍につなげたいところだ。
※文章、表中の数字はすべて2025年シーズン終了時点
文・データスタジアム
