◆マイナビオールスターゲーム２０２５　全セ１ー５全パ（２３日・京セラドーム大阪）

　「マイナビオールスターゲーム２０２５」の第１戦（京セラＤ）は、全パのコーチを務めた日本ハム・新庄剛志監督（５３）が祭典を大いに盛り上げた。４回に三塁コーチャーに入ると、１６０万円で特注した電光掲示サングラスで「スクイズ」と点灯させる仰天サインを披露。若月が失敗し不発に終わったが、自ら発案した「ガラポン抽選」で組んだ打線で５点を奪い快勝に導いた。通算成績はパの９２勝８１敗１１分けとなった。

　生粋の「お祭り男」は健在だった。就任４年目で初めてコーチとして全パのベンチに入り、選手だった０６年以来１９年ぶりに球宴の舞台に戻ってきた新庄監督が、前代未聞の仰天演出で祭典を盛り上げた。４―０の４回。１死から安打で出塁した周東が二盗、三盗を決めると、前の回から三塁コーチを務めていた新庄ボスが、三塁側カメラマン席に用意していた特注サングラスを装着した。

　打者・若月の７球目。新庄監督はブロックサインを出し、若月もビートたけしの持ちネタ「コマネチ」のポーズで応えた。試合前の打ち合わせで、サインを理解した時の約束だった。その直後だ。レンズに赤いＬＥＤランプで「ＢＯＳＳのサインはスクイズ　スクイズ　スクイズ」の文字が点灯した。まさかの“暴露”だった。指示通り、スリーバントスクイズを敢行。ファウルで三振となると、ボスは盛大にずっこけて悔しがった。

　特注サングラスは１か月半前に購入。眼鏡メーカーとＡＩカンパニーが共同で製作した代物だ。三塁に到達した周東から「それすごいっすね」と驚かれた際に「１６０万円！」と値段も明かした。電源をＯＮにしてスマートフォンと連動させ、文字を打ち込むシステム。周東が三塁に来るタイミングでマネジャーに「打ち込んでおいて」と合図を送っていたという。

　“バレバレサイン”の直後には周東に０４年球宴で自身が決めた本盗をリクエスト。「周東君にも『行くよ、行くよ』って若月君が失敗した後にホームスチールを狙ったんですけど、（捕手の）甲斐君がしっかり見てましたね」。こちらは作戦失敗に終わり苦笑いだった。

　前日から「何かするよ、彼は。急にスイッチが入る僕が登場する」と“予告”していた通り、ロッカールームに「ガラポン抽選器」を持ち込んだ。ソフトバンク・小久保監督が決めた９人のメンバーがそれぞれ自ら回して、打順を決定。就任１年目の練習試合やオープン戦で実施した“ガラポン・オーダー”を再現した。２番に入ったオリックス・頓宮が３回に３ランを放ちＭＶＰを獲得するなど、打線が機能し５点を奪った。

　「俺の中ではリルビット（奪いに行く）。それはよかった」と観衆の心をわしづかみにしたことを喜んだ新庄ボス。２４日の第２戦（横浜）でのサプライズについては「それは言えないよ～！」と、不敵な笑みを浮かべて球場を後にした。（長井　毅）

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