主力選手の活躍はもちろん、脇役の貢献が光る。強いチームにはありがちな光景だ。現在の埼玉西武も最後にリーグ優勝を果たした2008年のように、ベンチが一体となってチーム力を底上げしている。その流れを生み出しているのは選手個々の成長に他ならないが、陰には指揮官の内助の功があった。勝利と育成の両輪を回す、辻発彦監督の指導におけるポリシーとは。
選手、コーチ時代に得た知見を現在の指導へ生かす
パ・リーグ首位の埼玉西武は、リーグ再開後の6月22日から千葉ロッテとの3連戦に勝ち越し。3戦目の24日にお立ち台へ上がったのは、3戦連続でスタメンに名を連ねた斉藤彰吾選手だった。2本の適時打を放ち、今季初めて勝利の殊勲者となった。
プロ11年目となる斉藤彰選手は一軍では守備固めや代走要員として起用されることが多かった。だが、16年秋に辻発彦監督が就任して以降、斉藤彰選手に限らずこうした形で起用される選手は少なくない。26日のオリックス戦にスタメン出場を果たした木村文紀選手も、捕手併用制が敷かれる中で週3試合のマスクをかぶる岡田雅利選手も、辻監督から抜擢を受ける機会が増えた。
指揮官の起用に応える若い選手の姿は、今の埼玉西武にとっては当たり前の姿になっている。そもそも、辻監督が就任したときに課せられたのは、3年連続Bクラスからの脱却と若手選手の...