プロであっても双方での活躍は難しい。50試合登板を経験した先発投手たち

パ・リーグ インサイト 成田康史

2017.10.6(金) 00:00

北海道日本ハム・増井浩俊投手と清水優心選手(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハム・増井浩俊投手と清水優心選手(C)パーソル パ・リーグTV

中継ぎ投手の貢献度を示す1つの数字として、「50試合登板」が挙げられる。パ・リーグを代表する救援左腕・宮西投手(北海道日本ハム)は、リーグ初となる10年連続50試合以上登板を達成。中継ぎのスペシャリストが到達することが多いこの記録だが、ここでは中継ぎとしてフル回転した経験を持ちながら、今季先発に転向した投手を紹介したい。

まずは、北海道日本ハムの白村投手から。今季、白村投手が先発マウンドに上がったことは、若手選手が存在感を示すチームにおいても、驚きの起用だったのではないだろうか。2013年、慶應大学からドラフト6位で入団した右腕は、1年目から中継ぎとして10試合に登板。翌年は50試合に登板し、中継ぎ投手として一軍定着を果たす。187センチの長身から投げ下ろす150キロ超の直球と鋭く落ちるフォークボールを武器に、57回2/3を投げ66個の三振を奪う本格派の投球で、プロの打者を圧倒した。シーズン終盤には勝ちパターンの一角に定着し、13ホールドを記録している。

今季は開幕こそファームで迎えたものの、6月中旬に昇格して以降は中継ぎとして7試合に登板し、失点した試合はわずかに1試合、防御率2.53と安定感を見せていた。ところが、7月4日の埼玉西武戦で3回1/3を無失点、4奪三振と好投すると、一旦登録を抹消され、先発としての調整を開始する。

そして7月10日、ファームの巨人戦でプロ初の先発登板を果たすと、翌週にも先発として1試合を投げ、7月22日の埼玉西武戦で一軍の先発マウンドを踏んだ。2試合目となった7月29日は、福岡ソフトバンクを相手に5回2失点とまずまずの投球を披露。その後は再び中継ぎとして登板を重ねているが、先発登板を再び見ることはできるか。注目していきたい。

50試合登板はもちろんのこと、最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、なおかつ今季先発した投手となると、それは球界にただ1人しかいない。その投手とは、福岡ソフトバンクの攝津投手である。JR東北を経て、27歳でプロ入りした右腕は、1年目からなんと70試合に登板。全て救援として79回2/3を投げて、奪った三振は102個というインパクトのある活躍を見せ、文句なしの新人王に輝くと同時に、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した。

2010年にも71試合に登板し、チームの7年ぶりとなるリーグ優勝に貢献したが、2011年からは活躍の場を先発へと移すことになる。打たせて取る投球にシフトし、177回2/3を投じた右腕は、この年14勝を挙げる活躍を見せてチームの連覇、さらには3年ぶりの日本一の立役者の1人となった。2015年まで5年連続で2桁勝利を挙げ、投手陣の柱として君臨してきた攝津投手。しかし、昨季は開幕戦に登板したものの、2勝にとどまった。

再起を期して臨んだ今季、4月15日に今季初登板を果たすと、3試合目の登板となった5月6日の千葉ロッテ戦では4失点しながらも完投。その後の2試合は振るわず、5月25日に登録を抹消されたものの、9月24日の楽天戦ではさすがの投球を見せた。2013年には沢村賞を獲得するなど、抜群の成績を残してきた攝津投手は、35歳ながらまだ9年目。まだまだ攝津投手の活躍が見たい。

昨季は、北海道日本ハムの増井投手がシーズン途中に先発に転向、結果的に10勝を挙げてチームの日本一に大きく貢献した。また、埼玉西武の牧田投手も、ルーキーイヤーには主に抑えとして55試合に登板すると、翌年からは先発投手として2桁勝利を記録。昨季からは再びリリーフにその主戦場を移している。

先発、中継ぎとそれぞれ経験している投手は多くいるが、中でもシーズンを通してブルペンに控え、50試合に登板するタフな経験をした投手たちはそう多くない。先発として、その経験が生かされる投球が見られるか、彼らのピッチングに要注目である。

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パ・リーグ インサイト 成田康史

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